米企業が、日本既承認のBBB突破酵素治療薬イズカーゴと同コンセプトのtividenofusp alfaで第3相へ
An Intravenous Brain-Penetrant Enzyme Therapy for Mucopolysaccharidosis II
背景
ムコ多糖症II型(MPS II:ハンター症候群)は全身および中枢神経に障害を来すが、従来の酵素補充療法では血液脳関門(BBB)を通過できず、神経症状に無効だった。
アメリカUniversity of North CarolinaのMuenzerらは、8歳以下のMPS II男性47名を対象に、トランスフェリン受容体(TfR)を介して血液脳関門を通過するtividenofusp alfaの安全性・有効性を検証する第1-2相オープンラベル試験を実施した。
結論
24週時点で、47名全員が治療期間中に少なくとも1件の有害事象を報告し、最も多かったのは注入関連反応であった。注入関連反応で最も多く報告された症状は発熱・蕁麻疹・嘔吐で、通常の前投薬にもかかわらず、参加者の40%以上に発現した。3名に重篤な治療関連有害事象が発生したが、全員が治療を継続した。髄液中ヘパラン硫酸が91%、尿中が88%減少した。153週までに神経変性指標のNfLも76%低下し、適応行動の安定や肝容積の正常化、聴力の改善が確認された。
評価
Denali Therapeutics社開発の次世代酵素補充療法で、TfRを介した受容体介在性トランスサイトーシスを利用する。BBB突破技術として、応用範囲は広い。この手法は日本でJCRファーマが開発し、日本でイズカーゴとしてすでに承認販売されているが、今回のNEJM掲載によって、米国発の競合技術が、学術的評価において強力なライバルとして名乗りを上げたことになる。現在、標準治療と比較する大規模第2-3相試験(COMPASS試験)が進行中だが、FDA承認されれば世界の市場でドミナントになる可能性がある。


