AKT阻害薬engasertibが遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)で第1相通過
Engasertib versus Placebo for Bleeding in Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia
背景
遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)治療には決め手がない。
アメリカMassachusetts General HospitalのAl-Samkariらは、75名の患者を対象に、AKTシグナル伝達の経口阻害薬engasertibの安全性・有効性をプラセボと比較する第1b相試験を行った。
一次エンドポイントは、有害事象の発現頻度と重症度であった。
結論
一次エンドポイントは、engasertib群(30 mg群と40 mg群)とプラセボ群で同程度であった。標的を介した有害事象として、軽〜中等度の発疹と軽〜中等度の高血糖が認められたが、可逆的であった。
鼻出血の持続時間の平均減少率は、40 mg群で41.4%、プラセボ群で23.8%で、頻度やフロー強度でも用量依存的な改善が示唆された。
評価
Vaderis Therapeuticsの開発で、HHTに対する初の経口小分子AKT阻害薬である。この経路の阻害は抗体薬によって試みられたが失敗しており、今回の試みは興味深い。用量依存的かつ一貫した鼻出血の改善が示されたとしており、第2相に進むことになる。なお、抗腫瘍薬としての効果検定も平行して進められている。


