低資源環境における市中肺炎では補助的グルココルチコイドが有効
A Pragmatic Trial of Glucocorticoids for Community-Acquired Pneumonia
背景
低資源環境(Low-Resource Setting)における市中肺炎(CAP)患者の死亡率は高いが、補助的グルココルチコイドは有効なのか。
ケニアKenya Medical Research InstituteのLucindeらは、同国18病院のCAP成人患者2,180名を対象に、標準治療への低用量グルココルチコイド10日間追加の有効性を検証するRCTを行った(対照: 標準治療単独)。
一次エンドポイントは、登録後30日における全死因死亡であった。
結論
グルココルチコイド追加の一次エンドポイント効果を認めた:22.6% vs. 26.0%(HR 0.84)。副作用および重篤有害事象の頻度は両群同程度であった。ステロイド関連と見なされた重篤有害事象は5名(0.5%)で発生した。最も一般的な有害事象は高血糖と肺結核であった。
評価
「肺炎にステロイド」は古典的なテーマで、古典的なCohraneレビューもあるが(http://cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD010406.pub3/full)、否定的な見方も多い。本研究は先行研究とは異なり、非ICU設定かつ低資源環境で死亡率を一次アウトカムとしてステロイドの有効性を検証したユニークな研究である。患者は若年でHIV・結核等併存疾患が多く、高資源環境での試験とは異質で、効果量(HR: 0.84)は小さいが、利益は示されている。ただし、診断能力が限定的で患者集団が不均一であったため、重症度やステロイドの種類による効果の差は不明である。


