インフルエンザにmRNAワクチン登場:Pfizer C4781004試験
Efficacy, Immunogenicity, and Safety of Modified mRNA Influenza Vaccine

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2025
393
開始ページ
2001

背景

ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)技術を用いたインフルエンザワクチンが開発された。
アメリカPfizerのLindertら(Pfizer C4781004)は、2022〜23年インフルエンザ流行期に米国・南アフリカ・フィリピンにおける18〜64歳の健康な成人18,476を4価modRNAインフルエンザワクチン群と不活化4価インフルエンザワクチン群(対照群)に割り付ける第3相試験を行った。
一次エンドポイントは、modRNAインフルエンザワクチンの相対的有効性で、非劣性と優越性を検証した。

結論

modRNAワクチンは、対照群に対して相対的有効性34.5%で非劣性・優越性を示した。症例の多くはA型株(A/H3N2株とA/H1N1株)が原因で、B型株が原因のものはわずかであった。HAIアッセイでの抗体反応の非劣性はA型株に対して示されたが、B型株に対しては示されなかった。modRNA群で疼痛や発熱を含む軽〜中等度の副反応の報告頻度が高かった(局所反応: 70.1% vs. 43.1%、全身性事象: 65.8% vs. 48.7%)。発熱は modRNA群の5.6%と対照群の1.7%に発現した。有害事象プロファイルは両群で同様であった。

評価

mRNAプラットフォームによるインフルエンザワクチンはModernaも開発に成功しており(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39919447/)、ここでのPfizerワクチンとともに、既存ワクチンを上回る有効性を示している。ともに副反応の多さが目立ち、後者では高齢者層で有効性が同等なこと、B型株への抗体応答が低いことが、注目される。承認は次シーズンとなる可能性が高いが、即汎用となるかどうかは明らかでない。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell