AMDによる地図状萎縮にブレークスルー人工網膜システムPRIMA登場:PRIMAvera試験
Subretinal Photovoltaic Implant to Restore Vision in Geographic Atrophy Due to AMD
背景
加齢黄斑変性症(AMD)による地図状萎縮(geographic atrophy: GA)に対する、網膜下光起電力インプラント(PRIMA: 近赤外光で残存網膜細胞を刺激することで中心網膜萎縮部位の視力を回復させる)の有効性・安全性は。
ドイツUniversity of BonnのHolzら(PRIMAvera)は、地図状萎縮を有し、視力1.2 logMAR以上の参加者38名を対象に、これを検証するベースライン対照試験を行った。
一次エンドポイントは、ベースラインからインプラント後12ヵ月までの視力の臨床的に意義のある改善(0.2 logMAR以上と定義)と、12ヵ月までの処置またはデバイスに関連する重篤な有害事象の件数および重症度であった。
結論
38名の参加者がPRIMAインプラントを装着し、32名が12ヵ月後に評価を受けた。評価を受けなかった6名の参加者のうち、3名は死亡、1名は参加を中止、2名は検査を受けられなかった。
26名がベースラインからの臨床的に意義のある視力改善を達成した。欠損データ補完後も全参加者の80%が改善すると推定された。
重篤有害事象は19名の参加者で合計26件発生した。その81%は術後2ヵ月以内に発生し、うち95%は発症後2ヵ月以内に消失した。インプラント手術後の平均自然周辺視力は、ベースライン時の視力と同等だった。
評価
専用メガネカメラによる外部画像を近赤外光として完全ワイヤレスインプラントに送信し、インプラント中の光起電力マイクロチップが残存網膜細胞を刺激して神経信号に変える新規デバイスである。
Stanford発のアイディアをScience Corporationが製品化し、従来の人工網膜を超えるブレークスルーを達成した。ただし、5%患者で脈絡膜新生血管が発生しており、抗VEGF治療による術後管理が必要となる可能性がある。FDA承認は確実とみられるが、長期データと製造プロセスの確立は必須である。


