重症乳児型ポンペ病へのAAV9遺伝子治療の成功を報告
AAV9-Mediated Gene Therapy for Infantile-Onset Pompe’s Disease

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
June 2025
392
開始ページ
2438

背景

重症乳児型ポンペ病(Infantile-onset Pompe’s disease: IOPD)の現在の標準治療は酵素補充療法(ERT)だが、限界が多い。
中国Chinese People’s Liberation Army General HospitalのFengらは、アデノ随伴ウイルス9型(AAV9)ベクターによりERTの限界を克服する遺伝子治療(GC301、rAAV9-coGAA)を開発し、その安全性と有効性を評価する初期研究を実施した。

結論

IOPD患者4名にGC301を単回静脈内投与したところ、1名が死亡し研究を中止したが、生存した3名では52週間で心臓機能と運動機能の改善を認めた。観察期間中、ERTで問題となる抗GAA抗体は検出されなかった。最も一般的な有害事象は呼吸器感染症であった。

評価

ポンペ病の遺伝子治療は幾つか試みられたが、すべて局所療法で、まだ第3相に到達していない。この研究は初の全身治療で、中枢神経系の標的化に成功した可能性があり、画期的である。また、抗GAA抗体の非形成は、心強い。しかし、4名中1名の患者が死亡し、呼吸器感染症が頻発しており、安全性と長期効果については不明点が多い。有望な初期報告とみなされる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell