鍼治療は高齢者の慢性腰痛を軽減するのか:BackInAction試験
Acupuncture for Chronic Low Back Pain in Older Adults: A Randomized Clinical Trial
背景
慢性腰痛(CLBP)に対する鍼治療の効果には、未だ最終結論がない。
アメリカKaiser Permanente Center for Health ResearchのDeBarら(BackInAction)は、高齢CLBP患者800名を対象に、標準的鍼治療(SA)またはSAと維持療法による強化鍼治療(EA)を通常ケア(UMC)と比較するRCTを行った。
一次アウトカムは、CLBPに関連する機能障害で、ローランドモリス質問紙(RDQ)スコアのベースラインから6ヵ月後の変化によって測定された。
結論
SAとEAのいずれも、UMCと比較して、一次アウトカムを有意に改善し(SA vs. UMC: 調整平均差−1.0、EA vs. UMC: −1.5)相対的利益は12ヵ月持続した。しかし、EAはSAに対する追加的利益は認められなかった。
疼痛強度は、6ヵ月時点でEAがSAに対して相対的利益を示し、両鍼治療群でUMCに対して有意な改善が見られた。6ヵ月時点でのRMDQの臨床的に意義のある改善を示した調整後割合は、SA群(39.1%、調整後相対リスク1.33)およびEA群(43.8%、1.49)がUMC群(29.4%)より高く、12ヵ月時点でも維持された。重篤有害事象の発生率は低く、群間差はなかった。
評価
多くの研究のあるテーマだが、未だ2018のCochrane Reviewが最も優れたメタアナリシスを提供しており(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK100553/)、そこでは対照としてのシャム手技の重要性が強調されている。この研究は、Medicareによる鍼治療採用に関する意思決定に資するために実施されたもので、通常治療への上乗せ効果を示したが、方法論的にはプラセボ効果を排除できず、標準に達していない。政策決定においては参考データに留まる。