中国農村で高齢者の転倒予防介入プログラムを実行:FAMILY試験
A Fall Prevention Program Integrated in Primary Health Care for Older People in Rural China: The FAMILY Cluster Randomized Clinical Trial

カテゴリー
整形外科・理学療法、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
August 2025
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開始ページ
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背景

医療資源が限られた地域における高齢者の転倒予防策は。
中国Harbin Medical UniversityのPengらは、中国4省128農村における高齢者2,610名(年齢中央値70.0歳)を対象に、プライマリヘルスケアシステムに統合された転倒予防プログラム(バランス訓練・機能訓練・地域住民参加型健康教育)が転倒リスクを低減できるかを評価するクラスターRCTを行った(対照: 通常ケア)。
一次アウトカムは、介入後12ヵ月間に1回以上の転倒を報告した参加者の割合であった。

結論

統合介入プログラムの一次アウトカム効果を認めた(転倒リスク29.7% vs. 38.3%、オッズ比[OR]: 0.67)。
二次アウトカム(転倒率・3つの機能的移動能力指標・転倒関連障害報告参加者率・健康関連QOL)では、機能的移動能力指標であるTUGテストを除く、すべてで介入群が優位となり、介入は、転倒による障害の減少、および筋力・バランス能力の改善とも関連した。

評価

高所得国で盛んに行われてきた積極介入が、中国をはじめとする中・低所得国で有効であるかどうかを検証した初めての本格RCTで、医療資源が限られた環境下でも転倒予防プログラムが有効となることを実証した。村医者(village doctors)という中国特有のプライマリヘルスケア従事者を活用したことは、プログラムの拡張性と持続可能性を高める。彼らを「信頼できる文化的な仲介者」として活用し、地域特有の文化(例: 太陰太陽暦カレンダーの使用、方言による物語の活用)を考慮したアプローチは、介入への高い参加率と継続的な関与を促した。アメリカ他の先進国で推奨されている転倒予防プログラム(Otago Exercise Programなど)を、中・低所得国の実情に合わせて適応させる方法論として、貴重な知見である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy