アメリカにおける小児インフルエンザ関連急性壊死性脳症:最大のケースシリーズ報告
Influenza-Associated Acute Necrotizing Encephalopathy in US Children
背景
インフルエンザ関連急性壊死性脳症(ANE)は稀だが重篤な神経疾患で、疫学的・臨床的情報は不十分である。
アメリカStanford UniversityのSilvermanら(IA-ANE Working Group)は、2023年10月1日〜2025年5月30日にANEと診断された小児を対象に、症状・インフルエンザ感染状況・特徴的神経画像診断に基づく包含基準に基づき、23施設41名を対象とした多施設共同症例シリーズを縦断的に追跡調査した。
結論
疑診症例58例中、41例がインフルエンザ関連ANEの診断基準を満たした。76%には特記すべき既往歴はなかった。多様な治療にもかかわらず、死亡率は27%に上った。遺伝子検査を受けた32名中15名(47%)はANEリスクに関連する可能性のあるリスクアレルを有し、特に11名(34%)はRANBP2バリアントを保有していた。季節性インフルエンザワクチン接種を受けていたのは16%であった。27名の生存者のうち、63%は90日追跡調査時点で中等〜重度の障害(mRS≧3)があった。
評価
これまで、小児ANEの診断は稀であったが、今年の1月、ANE症例の急増がアメリカの小児神経科医により報告され、調査が実施された。本研究は、ANEに関する世界最大の症例シリーズ報告となった。ANEが増加した原因は不明だが、記録的な小児インフルエンザ流行期に重なっている。本研究の小児患者は、ステロイド・抗ウイルス薬・免疫グロブリン・血漿交換等多様な治療を受けた。CDCはこれまで公式集計を行っていなかったが、本研究を受け全米規模の症例追跡を開始した。


