進行性肺線維症に経口PDE4B阻害薬nerandomilast登場:FIBRONEER-ILD
Nerandomilast in Patients with Progressive Pulmonary Fibrosis
背景
経口選択的ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬Nerandomilast(BI 1015550)は、FIBRONEER-IPF試験で特発性肺線維症(IPF)への有効性が示されたが、進行性肺線維症(PPF)への有効性は。
アメリカUniversity of Southern CaliforniaアメリカのMaherら(FIBRONEER-ILD)は、44ヵ国のPPF患者1,176名を1日2回のnerandomilast 18 mgまたは9mgの投与群、またはプラセボに割り付ける第3相RCTを行った。層別化は基礎治療とCT上の線維化パターンで行われた。
一次アウトカムは、52週時点での努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量である。43.5%がベースラインでニンテダニブを服用していた。
結論
一次アウトカムの平均変化量は、nerandomilast 18mg群 −98.6mL、9mg群 −84.6mL、プラセボ群 −165.8mLであった。プラセボ群と比較し、nerandomilast 18mg群では67.2mL、9mg群では81.1mLの有意なFVC改善を認めた。最頻の有害事象は下痢で、実薬群でより多くみられたが、重篤有害事象の発現率に群間差はなかった。
評価
Boehringer Ingelheimの創薬で、開発が加速するPDE阻害薬クラス中、新しい選択的(preferential)PDE4B阻害経口薬である。今回の結果は、ハードアウトカム効果はみられないものの有益というもので、FIBRONEER-IPF結果とあいまって、IPF・PPFに対しFDA承認が得られるものと見込まれる。