修復不能な肩腱板断裂に対するデビブリドマンへのバルーンスペーサー併用は無益:START:REACTS試験
Two-Year Follow-up of a Group-Sequential, Multicenter Randomized Controlled Trial of a Subacromial Balloon Spacer for Irreparable Rotator Cuff Tears of the Shoulder

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
The American Journal of Sports Medicine
年月
May 2025
53
開始ページ
1291

背景

修復不能な肩腱板断裂の最適治療法は。
イギリスUniversity of WarwickのMetcalfeら(START:REACTS)は、修復不能な断裂で手術適応の患者117名を対象に、関節鏡視下デブリドマンとInSpace balloon(バルーンスペーサー)併用デブリドマンを比較するRCTを行った。
一次アウトカムは、24ヵ月でのOxford Shoulder Score(OSS)である。

結論

99名が24ヵ月の追跡を完了した。中間解析で募集は早期中止された。
一次アウトカムに群間差はなかった。しかし、Western Ontario Rotator Cuff Index(WORC)(平均差 −10.1)と患者の全般的変化印象(オッズ比  0.4)では、デブリドマン単独群が有意に優れていた。EQ-5D-5Lスコア(平均差 −0.009)と満足度スコア(オッズ比 0.6)には有意差はなかった。合併症の発現は両群間で同程度であった。

評価

InSpaceTM balloon(Stryker, USA)の有効性を検討して12ヵ月結果を報告した既報(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35461618/)の続報で、デブリドマンへのバルーンスペーサー併用の無益性を確認した。この主題にレベル1エビデンスを提示する、ほぼ決定的な結果である。統計決定ルールを強化して検出力を維持し、予定サンプルサイズより少ない117名で試験を中止するのに十分なデータを得たという、手法面でのメリットもある。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy