修復不能な肩腱板断裂に対するデビブリドマンへのバルーンスペーサー併用は無益:START:REACTS試験
Two-Year Follow-up of a Group-Sequential, Multicenter Randomized Controlled Trial of a Subacromial Balloon Spacer for Irreparable Rotator Cuff Tears of the Shoulder
背景
修復不能な肩腱板断裂の最適治療法は。
イギリスUniversity of WarwickのMetcalfeら(START:REACTS)は、修復不能な断裂で手術適応の患者117名を対象に、関節鏡視下デブリドマンとInSpace balloon(バルーンスペーサー)併用デブリドマンを比較するRCTを行った。
一次アウトカムは、24ヵ月でのOxford Shoulder Score(OSS)である。
結論
99名が24ヵ月の追跡を完了した。中間解析で募集は早期中止された。
一次アウトカムに群間差はなかった。しかし、Western Ontario Rotator Cuff Index(WORC)(平均差 −10.1)と患者の全般的変化印象(オッズ比 0.4)では、デブリドマン単独群が有意に優れていた。EQ-5D-5Lスコア(平均差 −0.009)と満足度スコア(オッズ比 0.6)には有意差はなかった。合併症の発現は両群間で同程度であった。
評価
InSpaceTM balloon(Stryker, USA)の有効性を検討して12ヵ月結果を報告した既報(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35461618/)の続報で、デブリドマンへのバルーンスペーサー併用の無益性を確認した。この主題にレベル1エビデンスを提示する、ほぼ決定的な結果である。統計決定ルールを強化して検出力を維持し、予定サンプルサイズより少ない117名で試験を中止するのに十分なデータを得たという、手法面でのメリットもある。