白血球接着不全症1型へのレンチウイルス遺伝子治療KRESLADIは有望
Lentiviral Gene Therapy for Severe Leukocyte Adhesion Deficiency Type 1
背景
白血球接着不全症1型(LAD-I:β2インテグリン[CD18]をコードするITGB2遺伝子変異による)で、重症患者は小児期を超えて生存することが稀である。
イギリスUniversity College LondonのBoothらは、生後5ヵ月〜9歳の重症LAD-I患児9名に対して行われたレンチウイルスベースの遺伝子治療(KRESLADITM: marnetegragene autotemcel[marne-cel]ヒトITGB2遺伝子導入自家CD34陽性造血幹細胞を使用)の第1・2相非盲検試験(2年間)の結果を報告している。
第2相主要評価項目は、同種HSCTなしでmarne-cel注入後1年以上(登録時1歳未満は2歳)生存であった。
結論
ブスルファンによる骨髄破壊的前処置に関連する重篤な有害事象が観察されたが、遺伝子治療に起因する有害事象は報告されず、生着不全例もなかった。HSCTなしの1年生存率は100%で、1歳未満登録の全例が2歳を超えて生存した。marne-cel注入後24ヵ月間の感染症関連90日超入院(74.45%)、長期入院(81.95%)、重篤感染症の年間発生率(84.90%)は、治療前と比較して有意に低下した。
評価
同疾患には同種HSCTが根治療法だが、ドナー不足・GVHD・生着不全といった課題がある。ここでの報告は、盛行している体外レンチウイルス HSC遺伝子治療の新たな成功例であり、FDAは現在Rocket Pharmaceuticals IncのKRESLADITMを承認審査中である。ただし、希少疾患の体外レンチウイルスHSC遺伝子治療には、長期効果が未明であることの他に、高額・ロジスティックスといったビジネス上の課題がある。