バロキサビルは家庭内インフルエンザ伝播を減らす
Efficacy of Baloxavir Treatment in Preventing Transmission of Influenza
背景
バロキサビルはインフルエンザA・B治療薬として使われているが、ノイラミニダーゼ阻害薬への優越性は。
アメリカUniversity of MichiganのMontoら(CENTERSTONE)は、2019〜24年のインフルエンザシーズンに、発端患者1,457名と接触者2,681名を対象とした国際共同第3b相RCTを行い、発端患者から家庭内接触者へのインフルエンザ伝播に対するバロキサビルの単回投与の効果を評価した。5〜64歳のインフルエンザ陽性発端患者を、発症48時間以内にバロキサビル群とプラセボ群に割り付けた。
一次エンドポイントは5日目までの家庭内接触者へのウイルス伝播であった。
結論
バロキサビルの一次エンドポイント効果を認めた[9.5% vs. 13.4%(aOR 0.68)]、相対リスク減少率29%。発症に至った伝播率はバロキサビル群5.8%、プラセボ群7.6%で有意差はなかった。追跡期間中、バロキサビル群の発端患者の7.2%に薬剤耐性ウイルスが出現したが、接触者には検出されず。新たな安全性シグナルは確認されなかった。
評価
ノイラミニダーゼ阻害薬に家庭内伝播抑制効果が認め難いことから企画された臨床試験で、バロキサビルの家庭内伝染抑制効果を立証して、ノイラミニダーゼ阻害薬に対する優越性を示した。この効果は、年齢層・季節・ウイルス型・投与までの時間・地域で一貫していた。家庭内伝播抑制効果は重要で、パンデミック拡大防止へのインパクトがある。なお、ワクチン接種歴がここでの効果に与える影響は不明である。