股関節の内転筋群の弱さは、鼠径部痛症候群の潜在的な危険因子である
Is hip adductor or abductor strength in healthy athletes associated with future groin pain? A systematic review and meta-analysis

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
British Journal of Sports Medicine
年月
March 2025
59
開始ページ
501

背景

鼠径部のトラブルは、よくみられるスポーツ傷害だが、健康なアスリートの股関節の内転筋または外転筋の強さは、将来の鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群: GP)と関連するか。スペインUniversity of OviedoのOlmedillasらは、13件の前向コホート研究(n=1,516)を対象とする系統レビュー・メタアナリシスを行った。

結論

研究全体のバイアスのリスクは低いと評価された。GP選手と比較して、負傷のなかった選手は、将来のGP(標準化平均差[SMD]=−0.5)およびGPによる時間損失(SMD=−0.68)があった選手と比較して、内転筋力が強かった。
外転筋力(GPのSMD=0.03、時間損失のSMD=−0.07)および内転外転筋力比(SMD=−0.02、SMD=−0.11)にはわずかな影響があった。
年齢および診断基準は、内転筋力とGPの関係の有意な調節因子ではなかった。

評価

GPは、フットボール・ラグビー・ホッケーといった、急加速や急減速、全力疾走、急な方向転換を伴うスポーツで発生率が高く、問題となっている。
この研究は、この主題に関する初のシステマティックレビュー・メタアナリシスで、外転筋力または内転外転筋力比とGP発症との間には関連がないことを示したが、97%が男性選手、13件中8件がフットボール選手、という制約があり、未だ普遍的な結論ではない。著者らは、アスリートのスクリーニングに内転筋群の筋力テストを組み込み、筋力値の低い個人を特定し、怪我の予防戦略を実施する必要がある、としている。

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取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy