非貧血性鉄欠乏症女性の運動パフォーマンスを鉄剤静脈内投与で改善する:IRONWOMAN試験
Effect of intravenous iron therapy on exercise performance, fatigue scores and mood states in iron-deficient recreationally active females of reproductive age: a double-blind, randomised control trial (IRONWOMAN Trial)
背景
運動をする女性に非貧血性鉄欠乏症(NAID)が多くみられるが、鉄剤の静脈内投与のパフォーマンスへの影響は。
オーストラリアThe University of Western AustraliaのDuganら(IRONWOMAN)は、レクリエーション活動に積極的な生殖年齢のNAID女性26名を鉄剤の静脈内投与群とプラセボ群に割り付け、介入前後の運動パフォーマンス・血液学検査・疲労レベル・気分状態・QOLの変化を評価した。
結論
介入により、血清フェリチン・血清鉄・トランスフェリン飽和度が有意に改善したが、個人差が大きく、反応は大きく異なった。群間の最高酸素摂取量(VO2Peak)・乳酸閾値・ヘモグロビン量には差がなかった。ランニングエコノミーは介入群でベースラインから4週間で改善し、持続した。疲労スコアは4週間後、介入群では改善したが、プラセボ群では改善しなかった。気分状態とQOLは、両群で変化しなかった。
評価
生殖年齢女性の3人に1人は月経困難症があり、半数が鉄欠乏性貧血と言われているが、検査プログラムや支援がない。NAID女性への鉄剤の静脈内投与が運動能力・運動パフォーマンスを改善することをRCTで示した。未だ小規模パイロット研究であり、大規模試験により、鉄補給の基準やタイミングをさらに検証し、適切な介入構築に繋げる必要がある。


