MGHが遺伝子改変ブタによる異種腎移植の第一例を報告
Xenotransplantation of a Porcine Kidney for End-Stage Kidney Disease

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
February 2025
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開始ページ
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背景

遺伝子改変ブタの心臓・腎臓の異種移植は、臨床研究から臨床試験への移行期にある。
アメリカMassachusetts General HospitalのKawaiらは、2024年3月に遺伝子改変ブタからの腎臓の異種移植手術を受けた62歳の男性について最終報告している。男性は、2型糖尿病(T2D)による末期腎疾患で、透析に使用できる血管アクセスの課題、心筋梗塞、重度の血管障害、心不全があり、副甲状腺全摘出術、2018年に脳死ドナーからの腎臓移植を受けていた。

結論

3種類のグリカン抗原のノックアウト、ブタ内因性レトロウイルスの不活性化、7種のヒト導入遺伝子過剰発現を含む69のゲノム編集が施された遺伝子編集ブタ腎臓を移植した。異種移植は直ちに機能し、クレアチニン値が迅速かつ徐々に低下したため、透析は不要になった。
8日目にT細胞介在性拒絶反応(血漿クレアチニン値の0.7mg/dL上昇・発熱・移植片圧痛・尿量減少)が起こった後、メチルプレドニゾロンとトシリズマブによる強化免疫抑制療法により拒絶反応は改善した。腎機能は持続していたものの、患者は52日目に急性心不全(剖検で重度冠動脈疾患と心室筋瘢痕化を証明)により突然死亡した。異種移植拒絶の証拠はなく、腎臓は完全に機能していた。

評価

この報告は2024年の第一例に関するものだが、MGHでは最近2例目の、世界4例目となる手術を行っているhttps://hms.harvard.edu/news/surgeons-perform-second-pig-kidney-transplant-massachusetts-general-hospital)。世界では現在患者二人が生存中であり、臨床研究としては成功といえる。FDAは、今回のブタ腎臓を製造したeGenesisとUnited Therapeutics Corporationに対し、腎不全患者に対する遺伝子改変ブタの腎臓移植の本格的臨床試験を開始することを承認した。eGenesisの臨床試験は5年以内に患者3名を対象に、またUnited Therapeutics Corporationの臨床試験は、6名を対象に実施が開始され、その後最大50名まで参加者が拡大される。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell