がんリスクを減らすには、腹部肥満の予防と定期的身体活動がともに重要
WHO guidelines on waist circumference and physical activity and their joint association with cancer risk
背景
低体脂肪と高い身体活動レベルは、がん予防における重要な生活習慣要因であるが、腹部肥満と身体活動ががんリスクに及ぼす相互作用については不明である。
ドイツUniversity of RegensburgのBohmannらは、UKバイオバンクのデータ(n=315,457)を使用して、腹囲(ウエスト周囲径)の閾値、身体活動レベルを分類し、腹部肥満と不十分な身体活動に起因するがんリスクを推定した。
参照グループは、ウエスト周囲径(女性で88cm未満、男性で102cm未満)および身体活動(週10METs 時/週以上)の推奨レベルを持つ個人で構成された。
結論
中央値11年の追跡期間(3,321,486人年)で、29,710名ががんを発症した。男女関わらず、腹部肥満があると、WHO推奨レベルの身体活動を達成しても、がん発症リスクが11%高まった。WHO推奨レベルの身体活動を達成していない参加者は、腹部肥満でなくても、がん発症リスクが4%高かった。
ウエスト周囲径と身体活動がどちらもWHOガイドラインを達成しなかった場合は、がん発症リスクが15%増加した。これはUKバイオバンクのがん症例の2.0%を占めた。
評価
身体活動は体重減少を引き起こさずにウエスト周囲径を減少させる可能性があり、これはBMIでは捉えられない変化である。この研究では、腹部肥満の指標としてウエスト周囲径を使用することで、BMI評価の限界を回避した。
著者らは、がんリスクを減らすためには、腹部肥満の予防と定期的身体活動がともに重要だ、と強調している。