多剤耐性結核に曝露した小児に対するレボフロキサシンによる予防的治療
Levofloxacin Preventive Treatment in Children Exposed to MDR Tuberculosis
背景
世界の多剤耐性結核菌(MDR-TB)感染症の罹患率は年間45万人以上とされ、小児の現在の有病者数は200万人と推定されている。
南アフリカStellenbosch UniversityのHesselingら(TB-CHAMP ISRCTN)は、南アフリカにおいて、MDR-TB成人に家庭内曝露した小児922名を対象に、レボフロキサシン(LVFX)を用いた予防的治療の有効性・安全性を評価する地域ベースの多施設RCTを行った(対照:プラセボ)。
一次有効性エンドポイントは、無作為化後48週目までの結核発症(結核による死亡を含む)、安全性エンドポイントは、治療期間中における少なくとも試験レジメンに関連する可能性があるグレード3以上の有害事象であった。
結論
LVFXの一次有効性エンドポイント効果を認めた(HR 0.44)。安全性エンドポイントの発生は、LVFX群4名とプラセボ群8名であった(HR 0.52)。グレード2腱炎がみられたのはLVFX群の1名であった。
評価
低中所得国において高品質な医薬品を手頃な価格で迅速に導入することを目的として設立された官民パートナーシップ、Unitaid等から支援を受けた研究である。MDR-TBに対する取り組みの大半は、疾患の診断・治療に重点を置いたものであり、MDR-TB患者への曝露後予防治療に関するRCTは これが最初である。ただし、NEJMはベトナムにおける青年・成人を対象としたRCT結果も併載しており、そこでの結果は「有意差なし」であった(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2314325)。有益集団は、小児に限られる可能性がある。