医師はスポーツにおけるハラスメントと虐待にどう向き合うべきか:#WhatWouldYouDo
#WhatWouldYouDo? A cross-sectional study of sports medicine physicians assessing their competency in managing harassment and abuse in sports
背景
医師は、臨床において患者に虐待の兆候を疑った場合、適切な機関に通報する必要があるが、スポーツにおけるハラスメントや虐待の認識および通報は。
カナダMcMaster UniversityのMountjoyらは、115ヵ国のスポーツ医406名におけるハラスメントや虐待の有害性に関する認識、およびそれらの兆候を疑い通報するための態度と自己効力感を特定し、通報の障壁を特定するため、横断的コホート研究を実施した。調査で提示されたハラスメントや虐待の状況は、調査参加前の12ヵ月間に発生したと報告されたものであった。
結論
スポーツ医は、状況が有害であると認識しているにもかかわらず、兆候や症状に注意を払ったり、ハラスメントや虐待の疑いを開示したり通報したりすることに、やや抵抗を感じていた。さらに、26.9%がハラスメントや虐待をどこに通報すれば良いかを知らず、半数以上がスポーツ組織における保護責任者が誰であるかを知らない(28.1%)か不明であった(23.4%)。守秘義務・誤診・報復の恐れ・時間的制約・知識不足など、ハラスメントや虐待の報告に対する多くの障壁を特定した。また、半数以上が十分な訓練を受けていないと感じており(57.6%)、ほとんどの回答者(84.6%)は、この分野でのさらなる教育を望んでいた。
評価
#WhatWouldYouDoは、ハラスメントや虐待に対するスポーツ医の認識や行動等を評価する初の研究であり、スポーツにおけるハラスメントと虐待の医療現場の対応に関する明確なシステム・通報制度が、世界的に整備不十分であることを明らかにした。著者らは、スポーツ医学の研修医・臨床医には、スポーツにおけるハラスメントや虐待を、より良く認識し、報告するための教育プログラムが必要であり、また、スポーツ医学の医師を保護するための国際コードを策定する必要がある、としている。