遠隔医療による妊娠中絶薬処方は、対面処方と同等に安全・有効
Comparison of No-Test Telehealth and In-Person Medication Abortion
背景
アメリカでは、経口妊娠中絶薬ミフェプリストンについて、既往歴だけを使用した検査なしのリモート適格性評価を行い、郵送で処方する在宅中絶へのアクセスが増えているが、有効性と安全性は。
アメリカ University of CaliforniaのRalphらは、70日までの薬物中絶を希望する参加者585名(妊娠期間中央値45日)を対象とした非劣性分析を伴う前向観察研究により、無検査適格性評価および薬剤の郵送による薬物中絶が、超音波検査による対面処方と同等かどうかを検討した。6州の医療機関が参加し、参加者は、無検査(遠隔医療)適格性評価および薬剤の郵送(検査なし+郵送)、無検査適格性評価および対面処方(検査なし+対面処方)、超音波検査による対面処方のいずれかを受けた。
結論
全体的有効性は、検査なし + 郵送群と超音波検査による対面処方群で各94.4% と 93.3%であり、非劣性マージンを満たした。重篤有害事象には、一晩の入院・輸血・緊急手術があり、参加者の 1.1%で発生した(検査なし+郵送群で3件、超音波検査による対面処方群で3件、検査なし+対面処方群では報告なし)。
評価
アメリカ連邦最高裁判所は2022年「Roe v. Wade」判決を覆して中絶禁止州と許容州が混在する結果となり、遠隔医療による在宅中絶の問題が重要になっている。
ここでの遠隔医療の非劣性の結果は、従前の結果を確認して(https://reproductive-health-journal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12978-024-01864-4)、既往歴に基づく遠隔処方モデルに医学的根拠を与えたが、州により規制が異なるため、その汎用は、さらなる混乱の原因となる可能性がある。