肝線維化のあるMASH患者に対するスルボデュチド:第2相RCT
A Phase 2 Randomized Trial of Survodutide in MASH and Fibrosis
背景
NEJMは、GLP-1受容体作動薬の代謝障害関連脂肪肝炎(MASH)治療効果を、他のインクレチンホルモン系薬の補完によって強化する方向での、二つの第2相試験の結果を併載している。
アメリカVirginia Commonwealth UniversityのSanyalらは、生検確認MASH成人患者(肝線維化ステージ F1〜F3)295名を対象として、グルカゴン受容体・GLP-1受容体デュアル作動薬スルボデュチドの効果・安全性を検証する第2相RCTを実施した(対照:プラセボ, 24週間の急速用量漸増期と、その後24週間の用量維持期の2期間)。
一次アウトカムは、肝線維化の進行を伴わないMASHの改善(スコア低下)である。
結論
一次アウトカムは、スルボデュチド2.4 mg/4.8 mg/6.0 mg群で各47%/62%/43%、プラセボ群で14%達成された。
二次アウトカム(肝脂肪量の30%以上の減少、および肝線維化ステージの1段階以上の改善)でも実薬が優った。実薬群で頻度が高かった有害事象は、悪心・下痢・嘔吐で、重篤有害事象の発現率に有意差はなかった。
評価
併載のチルゼパチドの第2相RCT(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe2406487)に優るとも劣らない結果で、両薬とも第3相へ進むこととなる。MASHへの有望なアプローチの登場である。


