ハムストリング近位部剥離には非手術的管理で良い:PHACT
Operative versus Nonoperative Treatment of Proximal Hamstring Avulsions
背景
レクリエーションでスポーツを行う中年者では、ストレッチが不十分なためにハムストリング近位部の剥離(PHA)がよく見られる。これに対し、外科的治療が広くなされているが、その利点を裏付けるデータは観察研究に限られている。
スウェーデンUppsala UniversityのJonssonら(PHACT)は、スウェーデン・ノルウェーの10施設において、30〜70歳のPHA患者119名をランダム化試験と並行観察コホートに登録し、手術と非手術管理の有効性を比較した。一次アウトカムは、24ヵ月時点のPerth Hamstring Assessment Tool(PHAT)評価である。
結論
一次アウトカムにおいて、非手術管理が手術に非劣性であった(0〜100点満点で1点差)。
二次アウトカムのLower Extremity Functional Scale(LEFS)スコアも両群同等であった。
手術群では、スポーツへの完全復帰を報告した患者が有意に多かった(57% vs. 40%)。重篤有害事象(手術部位感染・血栓塞栓症・神経学的合併症等)は、手術群で9件、非手術的群では3件発生した。
評価
この問題に関する初めての多施設RCTであり、治療への割り付けを拒否した患者のための観察群も含まれていた。
機能的評価も自己申告による評価も、2群で同等であった。著者らは、どちらのアプローチを選択するかは、レクリエーション アスリートの場合によくあるように、患者のスポーツに復帰したいという願望の強さによって決まる、としている。