経口ニルマトレルビル/リトナビルはCOVID-19の曝露後予防に無益:EPIC-SR
Oral Nirmatrelvir-Ritonavir as Postexposure Prophylaxis for Covid-19

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
July 2024
391
開始ページ
224

背景

パンデミック以後のCOVID-19では、曝露後予防が重要な課題となっている。
アメリカPfizerのHammondら(EPIC-SR)は、無作為化前96時間以内にCOVID-19の家庭内曝露があり、COVID-19の迅速抗原検査陰性で無症状の成人2,736名を対象に、ニルマトレルビル/リトナビルの有効性・安全性を評価する第2/3相RCTを実施した(対照:プラセボ)。
一次アウトカムは、ベースラインでのRT-PCR検査陰性参加者における14日目までの症状を伴うSARS-CoV-2感染(RT-PCR検査または迅速抗原検査陽性)である。

結論

ニルマトレルビル/リトナビル5日間群、ニルマトレルビル/リトナビル10日間群、およびプラセボ群の参加者のそれぞれ2.6、2.4、3.9%で、一次アウトカムが発生した。この差は、統計学的に有意でなかった。有害事象発生率に群間差はなかった。最高頻度の有害事象は味覚障害であった。

評価

同薬は、EPIC-HRで、高リスクで合併症のある有症状(曝露後)COVID-19成人非入院患者への効果・安全性が示されている(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2118542)。このEPIC-SRは、成人無症状非入院成人への曝露後予防効果をみたものだったが、失敗した。過去の感染やワクチン接種の結果、参加者の血清陽性率は90%を超えていた可能性が高いとされ、明確な差異が現れなかったことは不思議ではない。高リスク者に絞った部分集団解析が行われているとみられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell