足関節骨折術後の早期荷重は遅延荷重に非劣性:WAX試験
Early versus delayed weight-bearing following operatively treated ankle fracture (WAX): a non-inferiority, multicentre, randomised controlled trial
背景
足関節骨折の術後のリハビリテーション戦略において、荷重制限方針にはばらつきがある。
イギリスQueen Mary University of LondonのBrethertonら(WAX)は、NHS23施設で足関節不安定型骨折の急性期手術を受けた18歳以上の参加者561名を対象に、術後2週間で歩行を開始する早期荷重と、術後6週間で歩行を開始する遅延荷重を比較する非劣性RCTを行った。
一次アウトカムは、無作為化後4ヵ月でのOlerud and Molander Ankle Score(OMAS)評価による足関節機能である。
結論
4ヵ月時点で、早期荷重の遅延荷重に対する一次アウトカム非劣性を認めた(平均OMASスコア 65.9 vs. 61.2)。NHSと個人社会福祉サービスの観点から見た早期荷重と遅延荷重の平均費用は、それぞれ725ポンドと785ポンドで(平均差-60ポンド)、費用対効果が高い確率は80%を超えた。
早期荷重群と遅延荷重群とで合併症発生率に差はなかった。
評価
早期荷重は、骨治癒に問題が生じ、再手術が必要になる可能性があるという主張がある一方で、静脈血栓塞栓症や筋萎縮のリスクが軽減され、機能的転帰が改善される可能性があるという示唆もあった。エビデンス不足であったこの問題に、大規模RCTにより「早期で問題なし」というエビデンスを提示した。足関節骨折では合併症リスクと再手術の必要性の問題が大きく、今後の研究では合併症リスクの予測法が焦点となる。