変形性膝関節症にクリルオイルは効くのか
Krill Oil for Knee Osteoarthritis: A Randomized Clinical Trial

カテゴリー
整形外科・理学療法、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
May 2024
331
開始ページ
1997

背景

クリルオイル摂取で膝痛が改善することが報告されているが、変形性膝関節症(OA)に対する効果は。
オーストラリアUniversity of TasmaniaのLaslettらは、同国5都市において、MRIで滲出性滑膜炎を伴うOAと診断され、Visual Analogue Scale(VAS)が40ポイント以上である40歳以上の患者262名を対象に、OAへのクリルオイル摂取の効果を検証するRCTを行った(対照:プラセボ)。一次アウトカムは、24週間にわたる膝の痛みの変化(VAS評価)である。

結論

クリルオイルの一次アウトカム効果を認めなかった。1つ以上の有害事象が、クリルオイル群の51%、プラセボ群の54%で報告された。最も一般的な有害事象は筋骨格系および結合組織障害で、クリルオイル群で32回、プラセボ群で42回発生し、膝痛・下肢痛・股関節痛などがあった。

評価

クリルオイル(南極クリルオイル・オキアミ油)は、ω3系脂肪酸・リン脂質・アスタキサンチンを含有し、健康サプリとして注目を浴びているオイルである。すでに3つのRCTが、クリルオイルを毎日摂取すると、膝OA患者および軽度の膝痛患者の痛み・機能不全・症状が軽減されたとしたが、これらのRCTはいずれも、滲出性滑膜炎については評価していない。無効性のエビデンスを強めた研究である。

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取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy