CRISPR-Cas9ゲノム編集がCEP290関連網膜変性疾患にBRILLIANCEをもたらす
Gene Editing for CEP290-Associated Retinal Degeneration
背景
CEP290関連遺伝性網膜変性疾患(CEP290ARD)は、CEP290変異が起因する早期重度視覚障害である。EDIT-101は、CEP290イントロン26を損傷するIVS26バリアントを修復するCRISPR-Cas9ゲノム編集治療法で、動物レベルで有効性が示されている。
アメリカOcular Genomics InstituteのPierceら(BRILLIANCE)は、ホモ接合/複合ヘテロ接合性のIVS26バリアントに起因するCEP290ARDを有する3歳以上の患者14名(成人12名・小児2名)を対象として、EDIT-1の安全性・有効性を検証する第1・2相非盲検単回投与用量漸増試験を行った。治療は、障害がより大きな単一眼のみに行った。一次アウトカムは、有害事象・用量制限毒性等の安全性、二次アウトカムは、最高矯正視力のベースラインからの変化、網膜感度、VNC移動性試験スコア、視覚関連QOLスコアである。
結論
治療・手技に関連する重篤有害事象・用量制限毒性(一次アウトカム)は認められなかった。6名で、錐体介在視覚の改善を認めた。9名で、最高矯正視力、赤色光感度、移動性試験スコアのいずれかに改善が認められた。6名に視覚関連QOLスコアの改善が認められた。
評価
Editas Medicine社の創薬である。CEP290 ARDは小児遺伝性網膜疾患の最も一般的な形態で、EDIT-101は、視覚障害治療およびCRISPR-Cas9遺伝子治療における重要なマイルストーンとなる。ただし、錐体光受容体機能の改善が実質視力指標の改善と結びつかない等疑問点がある上に、あくまで小規模短期の安全性確認試験で、長期のオフターゲット効果等に関する情報もない。加速承認は考えられるものの、治療法として確立されるためには、さらに数年が必要である。


