前十字靭帯損傷後のリハビリテーションへの血流制限トレーニング(BFR-t)有効性のエビデンスは:系統レビュー
Comparison of Blood Flow Restriction Interventions to Standard Rehabilitation After an Anterior Cruciate Ligament Injury: A Systematic Review
背景
臨床現場で前十字靭帯(ACL)損傷後のリハビリテーションに血流制限トレーニング(BFR-t)を使用することへの関心が高まっているが、そのエビデンスは。
イギリスUniversity of NottinghamのColomboらは、2002〜2022年に発表された、ACL損傷患者のリハビリテーションに関する論文の系統レビューを行った。
結論
279研究が同定され、その5研究が選択基準を満たした。これらのうち2研究は、ACL損傷後のBFR-tリハビリテーションが、同等かより高い負荷の抵抗トレーニングによるリハビリテーションと比較して、膝または大腿筋力と筋肉サイズを改善することを示唆したが、他の2研究は逆の結果であった。患者報告アウトカム尺度(PROMs)を測定した唯一の研究では、従来のリハビリテーションと比較して改善がみられたが、筋力や筋肉サイズには差がなかった。
評価
BFR-tは膝特有のPROMスコアと身体機能を改善する可能性があると喧伝されているが、BFR-tの有効性のエビデンスは今のところ薄弱である、という結論である。また、ACL損傷のリスクが高い10代後半の患者を対象とした研究は存在しなかった。この問題の結論は今後の研究を待つ、ということになる。