多腺性自己免疫症候群1型(APS-1)の治療概念を立証
The Role of Interferon-γ in Autoimmune Polyendocrine Syndrome Type 1
背景
多腺性自己免疫症候群1型(APS-1)は、自己免疫性多発性内分泌症・カンジダ症・外胚葉性ジストロフィー(APECED)とも呼ばれ、自己免疫調節タンパク質をコードするAIREの常染色体劣性バリアントに起因するまれな単一遺伝子性自己免疫疾患である。
アメリカNational Institutes of Health(NIH)のLionakisらは、同疾患の病態形成の新しい解析と、それに基づく治療概念の立証を報告している。
結論
患者群の自然歴研究とマウスレベル実験により、インターフェロンγが病態形成の中心因子である、という仮説を形成した。APS-1患者5名を対象として、JAK阻害薬ルキソリチニブ治療を試みた。この治療により、T細胞由来インターフェロンγとCXCL9のレベルが正常化し、脱毛症・口腔カンジダ症・爪異栄養症・胃腸炎・関節炎・シェーグレン様症候群・蕁麻疹・甲状腺炎が寛解した。ルキソリチニブによる重篤な有害事象は確認されなかった。
評価
NIHによる、難治疾患の病態形成因子の同定と治療概念立証の報告である。すでにかなりの使用経験が蓄積されているルキソリチニブによる臨床試験は直ちに実行可能であり、迅速な結論が期待される。さらに、ここでの結果は、同薬が、APS-1の症候スペクトラムを形成する甲状腺炎等単一疾患でも有用である可能性も示唆している。


