FAISに対する股関節鏡手術は関節炎進行を遅らせる
Modern Hip Arthroscopy for FAIS May Delay the Natural History of Osteoarthritis in 25% of Patients: A 12-Year Follow-up Analysis
背景
大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAIS)に対する最新の股関節鏡手術の、変形性股関節症の自然史に対する影響は。
アメリカHospital for Special SurgeryのRamkumarらは、2010〜2012年に、両股関節にFAIS所見が得られたものの、症状のある股関節に対してのみ関節鏡手術を受けた100名の患者のX線画像200枚を比較し、最低10年(平均12.0年)のフォローアップを行った。手術群と非手術群の両股関節に関し、Tonnisグレードまたは人工股関節置換術の有無を、2名の独立したレビュアーが評価した。
結論
術後最低10年で関節炎の進行が増加したのは、手術股関節28%、非手術股関節の48%であり、全患者において手術は、関節炎進行の相対リスクを42%低減した。
患者の70%では、手術後の股関節と非手術後の股関節の間で関節炎の自然な発症に差はなかったが、25%では、10年後には手術後の股関節の関節炎が非手術中の股関節に比べて少なく、自然史が有利に変化する可能性が示唆された。
評価
アメリカで急激に増えている関節鏡手術で、FAISでも85%以上の患者に有効である、とされている。この研究は、非手術関節との比較の下で、関節炎自体の進行を遅らせると初めて示唆したもので、この低侵襲性手術の汎化をさらに推進する。