ACL損傷に対する初期保存的治療の長期転帰:ケースシリーズ研究
Outcomes >30 Years After Initial Nonoperative Treatment of Anterior Cruciate Ligament Injuries

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
The American Journal of Sports Medicine
年月
February 2024
52
開始ページ
320

背景

前十字靭帯(ACL)再建術(ACLR)の変形性関節症(OA)予防効果は不明だが、その主因は、ACL損傷に対する保存的治療の長期予後研究がないことである。
スウェーデンLund UniversityのHellbergらは、30年以上前に初期保存的治療を受けた患者100名を対象として、その後の臨床転帰を詳細に調査するケースシリーズ研究を行った。

結論

調査対象集団の、ACL損傷後33年時点でのKOOS日常生活活動サブスコアは、母集団ベースの基準値より良好であったが、他のKOOSサブスケールではスコアは同等であった。
患者の65%はLysholmスコアが良好または優れていた。Tegnerスコアは、受傷前から33年後の追跡調査まで4ポイント低下した。75%にX線画像による大腿脛骨OAおよび/または大腿膝蓋OA所見がみられたが、症候性OAは、38%であった。50%が半月板手術、29%が不安定性の再発に対してACLRを受けた。人工膝関節全置換術を受けた患者は2名であった。

評価

保存的治療を受けた患者の後期症候性OA有病率は「比較的低い」として、早期ACLRの長期的OA予防効果を疑問視する結果である。類似の先行コホート研究も存在している(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32736511/)。

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取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy