精神・神経疾患の性差を遺伝子発現レベルで検討
Sex differences in brain protein expression and disease

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
Nature Medicine
年月
September 2023
29
開始ページ
2224

背景

さまざまな精神疾患・神経疾患のリスクに性差があるが、その根底に何があるのか、探求が続いている。
アメリカVeterans Affairs Atlanta Health Care SystemのWingoらは、1,277名の脳プロテオームを用いて、タンパク質の存在量と遺伝的調整に与える性差の影響を検討、続いてそのサブセット621名の脳トランスクリプトーム・データを用い、mRNAおよびタンパク質レベルでの遺伝子発現と制御の性差を検討した。
さらに、性と脳のタンパク質量と精神・神経疾患との関連を調査した。

結論

測定された10,198のタンパク質中、13.2%に発現量の性差が認められ、さらに1.5%にあたる150タンパク質で、量的形質遺伝子座に性差(sb-pQTL)が認められた。
続いてトランスクリプトーム・プロファイリングが実施された。プロテオームとトランスクリプトームの解析で測定された9,080遺伝子中、5.5%でmRNAレベルとタンパク質レベルの双方で発現の性差が認められ、これらの遺伝子における性差発現の一致率は67%であった。
最後に、これらの遺伝子が、24の精神医学・神経学・脳形態学的形質の原因遺伝子651個に含まれるかを検討した。脳の形質における原因遺伝子のうち、平均25%がタンパク質発現に性差を有していた。さらにsb-pQTLを有する150遺伝子と原因遺伝子の交差を検証すると、12原因遺伝子がsb-pQTLを有した。

評価

性別は脳内のmRNA発現と、とりわけタンパク質の発現に大きく影響していた。なぜ性別が精神・神経疾患の発症に影響を与えるのか、という未解明の問題に基礎を与える研究である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell