マトリックス誘導性自家軟骨細胞移植(MACI)の10年アウトカムを発表
10-Year Prospective Clinical and Radiological Evaluation After Matrix-Induced Autologous Chondrocyte Implantation and Comparison of Tibiofemoral and Patellofemoral Graft Outcomes
背景
マトリックス誘導性自家軟骨細胞移植(MACI)が汎用されるようになったが、長期的な臨床・画像診断アウトカムは。
オーストラリアUniversity of Western AustraliaのEbertらは、2002〜2012年にMACIを受けた患者204名の10年間の追跡結果を発表している。また、脛骨大腿部MACIと膝蓋大腿部MACIとの比較も行った。
結論
膝関節損傷・変形性関節症転帰スコア等、患者報告アウトカム指標は術後2年まですべて改善し、その後10年まで顕著な変化はなかった。最終時点で、患者の92%がMACIによる膝関節痛の軽減に満足しており、76%がスポーツに参加できた。
2〜10年にかけて、MRIのMOCART等変数にも、またMRI総合スコアにも有意な変化はなかった。10年でのグラフト不全率は、10.8%であった。
脛骨大腿部MACIは、膝蓋大腿部MACIとの間にMRI所見の有意差はなかったが、長期的臨床アウトカムは前者がやや良好であった。
評価
第3世代MACIの長期アウトカムに関する初めての前向研究報告である。2年での安定、90%の移植成功率、脛骨大腿部MACIのアウトカムが、やや良いこと等、基本的な情報はすべて得られている。