発作性夜間ヘモグロビン尿症に、抗C5抗体療法を超える経口B因子阻害薬iptacopan登場:APPLY-PNH
Oral Iptacopan Monotherapy in Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
March 2024
390
開始ページ
994

背景

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対し抗C5抗体療法が行われているが、決め手となっていない。
フランスUniversité de ParisのPeffaultら(APPLY-PNH)は、経口補体副経路B因子阻害薬iptacopanの効果・安全性を検証する2つの第3相試験を行った。
いずれの試験も患者はHb<10 g/dLで、1つ目の試験(n=95)は、抗C5抗体療法を受けていた患者をiptacopanに切り替える群と同療法を継続する群に無作為に割り付けた。2つ目(n=33)は単群試験で、補体阻害薬による治療歴がなくLDH値が正常上限値の1.5倍超の患者にiptacopanを投与した(両試験とも24週)。1つ目の試験の一次エンドポイントは、赤血球輸血なしのHb値のベースラインから2 g/dL以上の上昇と12 g/dL以上であること、2つ目の試験は、赤血球輸血なしのHb値のベースラインから2 g/dL以上の上昇である。

結論

1つ目の試験では、iptacopan投与患者60名中51名が一次エンドポイントを達成したのに対し、抗C5抗体療法を受けた35名では達成者はいなかった。2つ目の試験では、33名中31名が一次エンドポイントを達成した。Iptacopanの最頻の有害事象は頭痛であった。

評価

Novartisの創薬で、貧血エンドポイントで抗C5抗体療法への明らかな優越性を示したばかりでなく、経口薬という有用性をもっている。承認は確実視され、貧血をターゲットとしたPNHの標準治療となる可能性もある。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell