Covid-19後の認知障害に関する最大規模の調査報告:Imperial College London
Cognition and Memory after Covid-19 in a Large Community Sample
背景
Covid-19後の認知障害に関しては、大規模調査が必要である。
イギリスImperial College LondonのHampshireらは、イングランドの成人800,000名にオンライン認知機能評価を依頼して、この問題を検討した。
結論
認知機能評価を開始した参加者141,583名中112,964名が評価を完了した。Covid-19 の症状が4週間未満で消失した参加者と12週間以上持続し、その後消失した参加者は、非感染者と比較して、全般的な認知機能の障害は同程度あるいは小さかった。他方、症状が持続し消失しなかった参加者は、非感染者より障害が大きかった(-0.42 SD)。初期に基準株またはB.1.1.7変異株に感染した参加者は、その後の変異株に感染した参加者より障害が大きく、また入院経験者は非入院経験者より障害が大きかった。
症状が持続して消失しなかった参加者では、非感染者より記憶・推理・実行機能の障害が大きく、これらの課題には記憶力低下・ブレインフォグ等との弱い相関があった。
評価
COVID-19の研究で世界を主導したイギリスICLによる最大のポストCOVID認知障害の調査報告である。著者らの結論は、「認知障害は明らかだが、臨床上の影響は不明である」というものである。長期的な追跡が必要である。