NASHにTHR-β特異的アゴニスト薬resmetirom登場:MAESTRO-NASH
A Phase 3, Randomized, Controlled Trial of Resmetirom in NASH with Liver Fibrosis
背景
Resmetiromは、肝細胞に高発現する甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)に対する特異的アゴニストであり、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)適応に関し第2相試験を通過している。
アメリカPinnacle Clinical ResearchのHarrisonら(MAESTRO-NASH)は、肝生検でNASHの診断が確定し、肝線維化進展度がF1B・F2・F3いずれかの成人患者966名を対象とした第3相試験の結果を報告している(対照:プラセボ)。
52週時点での一次エンドポイントは、肝線維化進展を伴わないNASH消失(NAFLD活動性スコアの2ポイント以上の低下)と、NAFLD活動性スコアの悪化を伴わない肝線維化進展度の1以上の低下である。
結論
Resmetiromの一次エンドポイントに対する効果を認めた。肝線維化の進展を伴わないNASH消失は、実薬100 mg群の29.9%で達成され(プラセボ群で9.7%)、NAFLD活動性スコアの悪化を伴わない肝線維化進展度の1以上の低下は、実薬100 mg群の25.9%で達成された(プラセボ群で14.2%)。
LDL-C値の低下でも実薬群が優った。下痢・悪心の頻度は実薬群が高かったが、重篤な有害事象の頻度に差はなかった。
評価
Madrigal Pharmaceuticalsの創薬で、さまざまなアプローチが試みられている難しい病態に対するファーストインクラス薬をもたらした。FDA承認は確実視されているが、効果はなおモデストであり、決め手薬となるものとはみられない。