高齢者の身体活動と認知機能低下の関連は弱い?:メタアナリシス
Physical Activity and Cognitive Decline Among Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
February 2024
7
開始ページ
e2354285

背景

高齢者の身体活動と認知機能との関連が示唆されているが、研究の多くは、短期間の観察研究に基づいている。
フィンランドUniversity of HelsinkiのIso-Markkuらは、341,471名の参加者を対象とした104件の研究の系統的レビューとメタアナリシスを行い、この問題を長期的に検証した。
バイナリアウトカムの分析には、102,452名を対象とした45件の研究、包括的認知機能の追跡の分析には、41,045名を対象とした14件の研究、包括的認知機能の変化の分析には、67,463名を対象とした25件の研究を含んだ。

結論

身体活動は、認知障害または認知機能低下の発生率の減少と関連していたが(プールリスク比0.97)、10年を超える追跡調査では有意な関連がなかった。
身体活動は、包括的認知機能の追跡(標準化回帰係数0.03)および包括的認知機能の変化(標準化回帰係数0.01)と関連しており、追跡調査期間、ベースラインの年齢、研究の質、ベースラインの認知機能の調整による明確な用量反応関係(dose-response)や調整関係(moderation)は認められなかった。
身体活動に関連する特定の認知領域は、エピソード記憶(標準化回帰係数0.03)および言語流暢性(標準化回帰係数0.05)であった。

評価

この関連に関する最大のメタアナリシスで、関連性の意外な弱さを結論した。ただし著者らは、認知機能低下を引き起こす多因子疾患を遅らせる可能性があるという点で、集団の健康の観点からは身体活動は重要としている。
また著者らは、10〜20年以上の追跡調査、ベースラインでの身体活動と認知力のきめ細かな測定、高い参加率と追跡調査率による、さらなる質の高いコホート研究の重要性を指摘している。

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