途上国における家庭内空気汚染の乳児へのインパクトはレンジの切り替えでは防げない:HAPIN
Liquefied Petroleum Gas or Biomass Cooking and Severe Infant Pneumonia
背景
途上国では未だ家庭内調理にバイオマスレンジが用いられており、空気汚染が大きな問題となっている。
アメリカJohns Hopkins UniversityのMcCollumら(HAPIN)は、インド・グアテマラ・ペルー・ルワンダで、18〜34歳、妊娠9週〜20週の妊婦3,200名を対象として、液化石油ガス(LPG)料理用レンジへの切り替え(介入群)の効果を検証するRCTを行った。一次アウトカムは、生児の生後1年間における重症肺炎発症である。
結論
生児は3,061名であった。児のPM2.5曝露量中央値は、介入群24.2 μg/m3、対照群66.0 μg/m3であった。介入の一次アウトカムに対する効果は認められなかった(発生率比 0.96)。介入に関連する重篤有害事象はなかった。
評価
Bill and Melinda Gates Foundationによる野心的な途上国公衆衛生支援プロジェクトの事前検証である。併載論文では出生時体重・発育不全という他の一次アウトカムにも差がみられないとしており、落胆する結果となった。著者らは、空気汚染が家庭内の問題でなく、地域全体の大気汚染の問題であるため、と推測している。


