富士フイルム フランスの公的研究機関とエボラ出血熱の迅速診断システムに関する共同研究契約を締結
インフルエンザウイルス高感度検出技術を応用し、エボラウイルスの即時診断技術の開発に着手
- 富士フイルムメディカル株式会社
- 2015年2月3日
2015年2月3日
富士フイルム株式会社
富士フイルム株式会社
富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、フランスの感染症、微生物学分野の最先端の公的研究機関であるBIOASTER(以下、バイオアスター)と、エボラ出血熱の迅速診断システムに関する共同研究契約を平成27年2月2日に締結しました。
現在西アフリカで流行しているエボラ出血熱を封じ込め、今後の大規模感染を防止するためには、治療薬やワクチンの早期実用化のみならず、感染者を初期段階で発見し、感染経路を遮断する初動の対策が重要とされています。このため、感染の疑いが報告された場所で、簡便かつ迅速に除外診断(*1)を行うための新たな技術・製品の開発が求められています。
今回の共同研究は、富士フイルムのウイルス高感度検出技術と、感染症の分野で豊富な経験とノウハウを持つバイオアスターが作製、評価するエボラウイルスの抗体を用いることで、現在エボラウイルスの確定診断に利用されている遺伝子検査同等の高い診断能力を有し、簡便、迅速、小型で可搬性に優れた、エボラ出血熱の迅速診断システムの技術を確立することを目標としています。
富士フイルムは、写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術(*2)を応用することで、一般的な診断薬(*3)と比較して約100倍の高感度でインフルエンザウイルスを検出できる「超高感度イムノクロマト法(*4)インフルエンザ診断システム」を開発し、平成23年10月に国内で販売開始しました。本システムは、2種類の抗体を用いて検体のウイルスの有無を識別するもので、簡単な操作によって3分半〜15分で判定結果を得ることができます。発症初期のわずかな量のインフルエンザウイルスでも検出を可能にした独自技術が高く評価され、医療機関への導入が進んでいます。今回、この技術を応用し、エボラ出血熱迅速診断システムを開発します。
バイオアスターは、フランスのリヨン市にある感染症分野の産業クラスターであるLyon Biopole(リヨン バイオポール)(*5)や感染症の世界的研究機関として知られるパスツール研究所、フランス国立保健医学研究機構INSERM(インサーム)(*6)などのフランスの研究機関から資金提供を受けて感染症、微生物学の研究を行っている公的研究機関です。
本共同研究は、世界の公衆衛生の課題解決という同じ目標を持って活動する当社とバイオアスターによる産官共同の国際プロジェクトです。最も毒性が強いウイルスなどを扱うことが可能なBSL4高度安全実験室(*7)を使用し、エボラウイルス陽性検体を用いた評価を行うため、インサームやジャン・メリュー高度安全実験室(*8)などのフランスの公的研究機関の協力も得て研究を進めていきます。
富士フイルムは、医療分野における社会課題の解決を事業成長の機会と捉え、今後も研究開発を積極的に推進して事業展開を図るとともに、革新的な製品の提供を通じて世界の医療の発展と、人々の健康の維持増進に貢献していきます。
*1 陰性であれば、その疾患の可能性をほぼ否定できる検査を行うこと。
*2 写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術をイムノクロマト法に応用し、採取した検体に含まれるウイルスの標識(金コロイド)を増幅してサイズを拡大し、目視能を大幅に向上させる富士フイルムの独自技術。発症初期のウイルス量が少ない段階でもインフルエンザを検出できる。
*3 体外診断薬の中で、採取した検体を用いてウイルス抗原を検出し、肉眼にて結果判定できる「迅速診断薬」を指しています。イムノクロマト法によって季節性インフルエンザの抗原を検出する商品を中心に、病院やクリニックで広く用いられています。
*4 試薬に滴下した検体(鼻腔ぬぐい液など)中に被検物質(ウイルスなど)が存在すると、試薬中の標識抗体と結合して抗原抗体複合体が生成され、この複合体があらかじめ検出ライン上に線状に塗布された抗体に捕捉されると、陽性(抗原あり)を示す色付きのラインが表示される診断方式。簡便迅速に結果を得られることから、処置を急ぐ必要がある感染症の診断に多用されている。
*5 感染症の分野に特化したリヨン市にある産業クラスターの名称。産業クラスターとは、特定分野において専門性を有する営利企業や、学術団体、公的機関が地理的に一箇所に集中し、競争や協力を行っている状態や集合体のことを指す。
*6 Institut national de la santé et de la recherche médical。フランス国立保健衛生研究機構の略。
*7 バイオセーフティレベル4。細菌・ウイルスなどの微生物・病原体などを取り扱う実験室・施設は格付けされており、4段階のリスクグループに分類されている。レベル4は、多数存在する病原体の中でも毒性や感染性が最強クラスであるものの取り扱いが可能な施設。
*8 フランス・リヨン市にある、WHOが制定した実験室生物安全指針の最高ランク(BSL-4)のリスクに属する病原体を取り扱いが可能なヨーロッパ最大の実験施設。
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