GEヘルスケア・ジャパン、血管X線撮影装置INNOVAブランドの新IGSシリーズ3機種を発売

外科手術に代わる低侵襲治療として普及が進むインターベンションを的確にサポート

GEヘルスケア・ジャパン株式会社
2012年3月30日

GEヘルスケアグループ(以下「GEヘルスケア」)の世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社長:川上潤)は4月10日(火)、GEヘルスケア製多目的X線撮影装置(血管X線撮影装置:アンギオグラフィーシステム*1)INNOVA(イノーバ)ブランドの新IGS(Image Guided System)シリーズ3機種を、全国の大学病院や地域基幹病院を主対象に同時発売します。今回新たに市場投入するのは、フラットパネル型デジタルディテクタ(FPD)のサイズが異なる3機種です。


世界に先駆けて進む高齢化やQOL(Quality of life)向上に対する患者意識の高まりなどを背景に、X線透視画像を見ながら血管や腫瘍などを治療するインターベンション(IVR)*2は、外科手術に比べて侵襲の少ない患者に優しい治療法として近年、加速度的な拡大を見せています。また最近では、、慢性完全閉塞(CTO)や従来開胸・回復術を執拗とした胸部・腹部の大動脈瘤に対するステントグラフト術が可能になる等IVRの複雑化・高度化が飛躍的に進んでいます。
このような中、IVRを支援する血管X線撮影装置の果たす役割は一段と増大してきており、精度の高い治療を施すための多様かつ質の高いサポート機能が求められています。このニーズに応えるため、2D(次元)のX線透視画像に、形態情報の描出に優れるCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴断層撮影装置)などの3D画像を重ね合わせることで、治療計画から実際の手技までの全IVR工程において一段と的確なサポートを目指したのがInnova IGS(Image Guided System)シリーズです。
新InnovaIGSシリーズでは、X線透視画像と、CTやMRIなどの3D画像をリアルタイムで重ね合わせ、より正確な血管・臓器の描出が可能となる「Innova Vision(イノーバ・ビジョン)」、肝臓の想定栄養血管をカラー表示し肝腫瘍の治療に貢献する「FlightPlan for Liver(フライトプラン・フォー・レバー)」、心拍の影響を抑えた重ね合わせ画像でより安全な不整脈治療をサポートする「EP Vision(イーピー・ビジョン)」など、高精度の3D画像を駆使した多彩なアプリケーションを搭載し、複雑高度化するIVRを一段と的確にサポートします。

■Innova IGSシリーズ搭載の主要アプリケーション

1. 透視画像とCT・MRIなどの3D画像を高い精度で重ね合わせ、患者負担の軽減や検査効率の向上に貢献する「Innova Vision」
CTやMRIで事前に撮影した患者の3D画像上に、IVR中にInnova IGSシリーズで撮影した透視画像をリアルタイムで重ね合わせる(Fusion)機能がInnova Vision(イノーバ・ビジョン)です。CTやMRIで撮影した体内の形態画像上に透視画像を極めて高い精度で重ね合わせることで、血管の位置を正確に描出できるようになるため、一段と高い精度でインターベンションを支援できるようになります。
また、表示される画像はIVR中の患者テーブルや撮影機構部(ガントリー)などの動きにリアルタイムで追従するため、必要なロードマップ(血管地図)を繰り返し撮影することなく手技を継続できます。業界最高レベルを誇る高精度なリアルタイム追従で、検査効率を大幅に高めるとともに、患者の被ばく低減や注入する造影剤の使用量の削減など患者の負担を軽減します。
加えて、国内の血管X線撮影装置で唯一、患者のベッドサイドに設置した操作コンソール「InnovaCentral(イノーバ・セントラル)」上で3D画像の透過度やしきい値などを変更できるため、「カテーテルの先端をより見やすく表示したい」「微細な血管がどのよう出ているか詳しく確認したい」といった手技中のニーズに迅速に対応でき、検査の利便性向上に貢献します(オプション)。さらにカテーテルを繰り返し挿入する場合にも、毎回透視画像を撮影せずに重ね合わせた3D画像をもとに位置決めできるため、検査効率のアップと被ばくの低減につながります。

2. 肝臓の想定栄養血管をカラー表示し肝腫瘍の治療に貢献する「FlightPlan for Liver」
腹部領域のインターベンションのなかで6割を占める肝臓治療における現在の主要課題の1つが、肝腫瘍がどの血管から栄養を取り入れているのかという栄養血管の迅速な特定です。この課題克服に向けてInnova IGSシリーズで新たに採用したのが、栄養血管と想定される血管を自動的にカラー表示するFlightPlan for Liver(フライトプラン・フォー・リバー)*3です。
栄養血管が複数ある場合などでは通常、カテーテルの位置を変えて数回撮影し、各断面像のスライス位置を幾度も変更して確認する必要がありますが、FlightPlan for Liverの採用で、術者は自動カラー表示された血管をもとに栄養血管を特定できるため、治療効率の飛躍的な向上、ならびに撮影回数の削減に伴う被ばくの低減や造影剤使用量の抑制につながると期待されています。
加えて、上記Innova Visionと組み合わせることで、FlightPlan for Liverで作成された画像を透視画像に重ね合わせることができ、一段と質の高いインターベンション環境を提供します。


▲Innova Visionによる3D画像と透視画像の重ね合わせ 左上:3D CT画像/右上:透視画像/下:Fusion画像

▲想定栄養血管を自動カラー表示するFlightPlan for Liver

3. 心拍の影響を抑えた重ね合わせ画像でより安全な不整脈治療をサポートする「EP Vision」
心房細動などの不整脈に対するカテーテルアブレーション治療*4を支援するのがEPVision(イーピー・ビジョン)です。CTなどで撮影した心房や心室、大血管の3D画像からロードマップ(血管地図)を再構成してInnovaIGSシリーズの透視画像上にリアルタイムで重ね合わせます。3D画像と透視画像の心周期をあわせることで心拍による画像のずれを最小限に抑え、より安全で迅速な治療をサポートします。


▲安全・迅速なアブレーション治療を支援するEP Vision

その他、InnovaIGSシリーズ3機種ではInnovaCentralで操作可能な56インチの大画面モニターを新たに搭載(オプション)。画像や各種データの表示レイアウトをサイズや配置場所に応じて120通り登録可能で、各診療科のニーズにマッチした最適な検査・治療環境を提供します。

当社は現在、顧客の医療機器と当社のサービスセンターをブロードバンドで結び、装置の不具合が発生した場合に遠隔で保守・修理する「InSiteBB(インサイト・ビービー)」を提供していますが、このほどこの遠隔メンテナンスサービスを強化し、従来の24時間365日にわたる装置データの監視・診断のみならず、不具合が発生する前にその兆候を検知する予兆監視を強化。不具合の兆候を事前にキャッチした場合には、遠隔で該当箇所を解析し、必要に応じスタッフを出動させます。この予兆監視によって装置のシステムダウンの削減につながると見込まれています。結果として、スケジュール通り、確実に検査・治療を実施できるため、急な予定変更などで患者の負担を増やすこともなく、また一日に撮影できる患者数も増やせるため、病院経営効率化にも貢献すると期待されています。

今回発売する「InnovaIGS520」 「InnovaIGS530」 「InnovaIGS540」、ならびにFlightPlan for Liverは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が独自に定めた厳しい基準をクリアした装置・機能です。GEは世界が直面する最も困難な課題の解決に貢献する企業として、2009年に医療問題に取り組むビジネス戦略「healthymagination(ヘルシーマジネーション)*5」を立ち上げました。この戦略を通じて、想像力を駆使した医療関連の革新的な技術開発や比類なき製品やサービスを提供し、世界の医療課題を解決することを目指しています。この一環で、独自に定めた基準をクリアした優れた自社製品やサービスの認証制度を設けており、InnovaIGSシリーズ3機種はX線線量低減に向けた可能性、FlightPlan for Liverは栄養血管特定に向けた正確性が高く評価され、ともにヘルシーマジネーション認証を獲得しました。

当社は現在、FPD搭載多目的X線撮影装置として、循環器用の「Innova 2100IQ」、全身用の「Innova 3100IQ」、頭腹部用の「Innova 4100IQ」の3機種(すべて2009年4月発売)、ならびに「Innova 2121IQ」と「Innova 3131IQ」の2機種のバイプレーン型装置(ともに2007年12月発売)を市場投入しています。今回、最新機種3製品を大学病院や地域基幹病院の循環器科・脳神経外科・放射線科・消化器内科を主対象に幅広く販売することで、心臓などの循環器から頭腹部、全身領域までの血管撮影すべてにFPD搭載装置を揃えるメーカーとして差別化を図り、全製品群の拡販を狙います。加えて、高度化するインターベンションを的確に支援する先進的な装置を幅広く導入することで、高齢化の進展で一段とニーズの高まる低侵襲治療のさらなる普及に貢献することを目指します。

*1 血管造影撮影法(アンギオグラフィー)とは、血管内に造影剤を注入し、その流れをX線で撮影することで、血管の走行・形状・分布などを観察する方法で、略してアンギオともいわれる。X線を通しにくい造影剤を目的の血管に流し込んだ後にX線撮影することで、造影剤の入った部分の血管の形をクリアに映し出せる。手術をしない限り、見ることのできなかった血管の形態がほとんど身体を傷つけずに低侵襲で見られる。くも膜下出血や脳梗塞など脳血管障害、脳腫瘍、肺がん、肺梗塞、肝硬変、肝腫瘍、子宮がん、骨腫瘍、手足四肢血管狭窄などの診断に主に使用される。造影された血管をX線撮影する装置が血管X線撮影装置(アンギオグラフィーシステム:アンギオ装置)
*2 インターベンション(IVR)とは、アンギオ装置で撮影したX線の透過像をリアルタイムに見ながら、血管内からカテーテルなどを用いて病巣にアプローチする治療法。外科手術に比べて、患者の身体への負担およびリスクが少ない。血管内に挿入したカテーテルを操作して、動脈硬化などで狭くなった血管を広げたり(血管形成)、コイルを詰めて血管が破れる恐れのある動脈瘤に血液が流れ込まないようにしたり、がん組織に栄養を与える血管の血液を遮断する(血管塞栓術)といった治療が代表例。動脈瘤、動静脈奇形、肝臓がんなどは、IVRによって外科手術なしに治療が可能になっている
*3 FlightPlan for Liverは腫瘍への栄養血管を100%同定するものではありません。最終的な治療に関する判断は医師によって決定されます
*4 アブレーション治療は、心臓の拍動リズムに異常を来して脈拍数が多くなる「頻脈性不整脈」の治療法の1つ。足の付け根などの太い血管からカテーテルを入れて、心臓内部の不整脈の原因となっている部分を小さく高周波電流で焼き切る。手術が成功すれば不整脈の根本的な治療となる
*5 「ヘルシーマジネーション(healthymagination)」は、世界が直面する深刻な医療問題の真の解決を目指して、2009年5月にGEが策定したヘルスケアに関する戦略。2015年までに60億ドルを投じて、地域に適した技術開発、ヘルスケアITの加速、格差のない医療の提供、在宅医療の推進の4分野で、100種類のイノベーションを実施し、15%の医療コストの削減、15%の医療アクセスの拡大、ならびに15%の医療の質向上を実現することを目指している。ヘルシーマジネーションの詳細はwww.healthymagination.comを参照。

新発売3機種一覧

その他、本資料に記載された装置の製品名/薬事販売名/医療機器認証番号は以下の通り

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