「学びたいと思ったときに学べる環境を整備」
—不眠不休の二次救急病院での活用法を伺いました

社会医療法人杏嶺会 一宮西病院 病理診断科 副部長 竹山 裕之 先生(写真左)
病理診断科 野村 宣徳 先生(写真右)
図書室 司書 中島 ゆかり様(写真中央)
愛知県尾張西部エリアの中核を担う社会医療法人杏嶺会 一宮西病院。 昨年7月の新棟オープンにより801床の病床数となり、職員数約2,500名を有する大規模病院である。医療の質向上のための教育、研修、医療研究にも力を入れている同院にとって、図書室や医療情報システムは欠かせないものとなっている。 以前から様々な電子リソースを積極的に導入されている同院図書室の、現担当者である中島様にメディカルオンラインイーブックスライブラリ(以下:MOLイーブックス)の利用状況を伺うとともに、実際の利用者である病理診断科の竹山副部長、野村先生のお二方にもMOLイーブックスの魅力についてお話を伺った。

24時間・365日体制で働く医療従事者のために

まずはじめに、職員数約2,500名という大規模な貴院の学術情報を担う図書室となりますと、電子リソースの導入は不可欠だと思いますが、それらをどのように拡充されてきたのでしょうか?

中島様:

私が着任したのが2018年4月ですが、それ以前から前任者が電子化を進めていました。 当院は二次救急病院として、24時間365日稼働しているため、利便性を考えて、診療に必要な情報を知りたいと思った時にすぐ取得できる環境を整えるといった面でも、電子コンテンツを充実させていたようです。 メディカルオンラインもすでに前任者の時点で導入されていました。

すでに着任された頃から電子化は進んでいたのですね?

中島様:

はい、着任時、病院図書室は初めてだったのですが、電子化が進んでいたおかげで、ほとんど苦労なく業務を行うことができたのは非常にありがたかったです。 そのため、さらに充実させるにはどうしたらいいかということに、集中することができました。

新型コロナ、新棟建設をきっかけに、電子リソースを見直しました

貴院でMOLイーブックスを導入されたのは2022年1月ですが、その経緯を教えてください。

中島様:

着任後1年ぐらいで新型コロナウイルス感染症が本格化しました。その頃から電子書籍が一般化してくるのを感じ、MOLイーブックスを導入する良い機会だなと思っていました。 同時に、当院の新棟建設により1年間図書室がなくなるという状態になりまして(笑) これは大変、ということで電子リソースの契約を見直しました。

それは大変ですね。どのように見直したのですか?

中島様:

まずは、これまでより収録誌の多いサービスに変更しました。 洋書は契約中の電子リソースに書籍も多く含まれていたのでよかったのですが、和書が問題でした。和書は新たに契約する必要があり、機関契約ですと高額です。 そのような中、メテオの営業担当からメディカルオンラインにプラスでイーブックスの契約もできるというお話を伺って、年間購読・アクセス無制限サービスもあり、相対的に見て値段もかなりお得と考えられたので、費用対効果の上でも検討することができました。

文献・電子書籍が共通のプラットフォームで利用できるメリット

MOLイーブックスの検討から導入まではスムーズに進んだのでしょうか?

中島様:

まず、上層部に導入を働きかける上で重要なのは、「利用率が見込めるか」という点です。いくらリーズナブルであっても、利用率が低ければ費用対効果が出ません。 その点、MOLイーブックスは“メディカルオンライン”(以下:MOL文献)を既に導入していて利用もかなり多かったので、ハードルはそれほど高くありませんでした。 プラットフォームが一緒なので、MOL文献と同じID/PASSでMOLイーブックスも利用できる点は、ひとつの説得材料になりました。

やはり共通プラットフォームという点はメリットでしたか?!

中島様:

はい。インターネットでメディカルオンラインのWebサイトにアクセスし、普段から利用している“文献”の隣に“イーブックス”が並んでいるため、「この隣のイーブックスというタブをクリックしてください」と言えば、すぐに理解してもらえました。利用者にとっても非常に利便性が高いと思います。

病院だから医療系の本だけあれば良い、というわけではない

MOLイーブックスの書籍ラインナップはいかがですか?

中島様:

対象書籍も多く、満足していますが、特に医療以外の書籍も入っている点が良いと思います。 病院というのは、様々な職種や患者様がいるので医療だけを勉強すれば良い、というわけではないという考えのもとで職務にあたっています。 医療を通じて社会の様々な部分とつながっていると思うので、当院の職員が医療以外のことを勉強したいと思った時に、そのための情報を提供できる図書室でありたいという思いもあります。 病院には事務職員も多数います。いわゆる医療書以外の、事務手続きに必要な資料、病院運営に係る資料を揃えることも大切です。それらも提供できる図書室でありたいと考えています。 その点で、MOLイーブックスには医療以外の書籍もあるため、大変有難いと感じています。

図書室として、紙の書籍購入は少ない

MOLイーブックス導入後、貴院ではコンスタントに年間500種類程度の書籍が閲覧されています。導入検討時からみて、この数字はいかがでしょう?

中島様:

利用があって、嬉しいなと思います。 先ほども話しましたが、当院では電子リソースの導入に力を入れています。その反面、紙の書籍購入は他院に比べ少ないと思います。 もちろん、必要不可欠なものや、リクエストがあったものは病院で購入するのですが、リクエストのあった書籍は、まず必要としている部署に配架されるため、図書室の棚には並んでいません。

なるほど、リクエスト書籍はすぐ図書室に配架されるわけではないのですね。

中島様:

そうなのです。だから図書室に新刊図書は少なくて(笑)皆さん書籍に飢えているのではないか?と心配していました。 MOLイーブックスの利用率を確認して、やっぱり書籍を読みたい方が結構な数いたのだと反省しています。

電子書籍のメリット、紙の書籍のメリット

確かに書籍のニーズはあるけど、図書室で購入するには予算面等でなかなか困難もあるということですね。

中島様:

紙の書籍は、所蔵する上でスペースを必要としますし、利用は基本的に1人ずつで、 同時に複数人で読むことはできないですよね。新刊を購入したとしても、誰かに貸出すと、他の人は読みたくても返却されるまで待たなければいけなくなります。 医療の現場ですと、知りたいと思ったら今すぐ知りたいということも多いため、電子書籍、特にMOLイーブックスの年間購読制は同時アクセス無制限のため、その心配がないので本当にありがたいです。

電子書籍のメリットですよね。

中島様:

そうですね。ただ面白いのは、紙の書籍には紙の書籍の良さがあるといった話があって。MOLイーブックス導入当初に、ある職員から「MOLイーブックスで読んでみて、手元に置いておきたいと思ったものは、本屋さんで紙の本を購入しています」と言われたことがありました。自分で購入した本は、手元においてマークをつけたり、書き込みをしたりするそうです。 目からウロコの出来事でした。MOLイーブックスは“まず1度読んでみる”といった試し読み、立ち読み的なメリットもあると思います。電子と紙の共存関係もありますよね。

なるほど、音楽のサブスクで初めて聴いてファンになったのでCDを購入する、というようなことですね。 我々に書籍を提供していただく出版社の方々にも伝えていきます。

ご利用者インタビュー

ここからは、実際にMOLイーブックスをご利用いただいているユーザーの声をお届けします。
同病院の病理診断科 竹山 裕之 副部長(写真右)、野村 宣徳 先生(写真左)にお話を伺いました。

検索して確認は我々の業務の一部になっています

貴院の利用統計を拝見しますと、病理診断系の書籍の利用を多く確認できます。 どのようなシチュエーションでMOLイーブックスをご利用いただいていますか?

竹山先生:

病理診断に関してはどの施設でも同じだと思うのですが、馴染みのない疾患を診断する時は、鑑別診断や背景知識などを確認する必要があります。対象となる疾患の範囲が広く、業務中に検索して診断に必要な情報を確認するという作業が必須です。 当院ではMOLイーブックスに対象書籍が多くあるため、頻繁に利用しています。

病理標本の場合、画質や色の鮮明さは重要な点だと思いますが、電子書籍でも問題がないですか?

野村先生:

はい、いわゆる画質的な部分の問題は全くありません。

電子ならではのメリットはありますか?

竹山先生:

画像を拡大できるのは電子の良いところですね。

野村先生:

電子の方が切り替えやすいというメリットはあります。 画像Aと画像Bを切り替えて比較して見る、という際には紙のページをめくるより、電子の方がパッパッと切り替えられるので、その点はかなり楽です。

MOLイーブックスは利便性の高いサービスだと思います

それ以外のメリットはありますか?

竹山先生:

紙の書籍と大きく異なるのは、やはり全文検索ですね。検索すると関連する項目が全て出てきます。紙の本だと、必ずしも全ての単語が索引に出ているわけではなく、検索で全て見つけられるというのは大きいです。

竹山先生:

また、以前は私も紙の書籍を購入していたのですが、1回購入してもしばらくすると新しい版が出ます。全て購入し続けるのはなかなかハードルが高く、新しい版はMOLイーブックスで見るようになりました。

竹山先生は以前の病院でMOL文献はご利用されていらっしゃいましたか?

竹山先生:

はい、「病理と臨床」がMOL文献にあるのでよく利用していました。

MOLイーブックスは未導入の病院でしたが、もし導入されていれば利用されていましたか?

竹山先生:

はい、あったら利用していましたね。そもそも電子書籍のサービスがあるとは知りませんでしたので、当院で初めて(MOLイーブックスに)触れて、便利だなと感じています(笑)

電子で和書を見ることができるのはメリットです

ラインナップに加えてほしい書籍やジャンルはありますか?

竹山先生:

なかなか難しいかもしれませんが、癌取扱い規約やWHO分類のブルーブックがあると良いなと思います。後はさきほど野村先生とも話していましたが、皮膚や脳腫瘍の病理の書籍がもう少し充実していればありがたいです。

ありがとうございます、海外のデータや書籍は難しいですが、皮膚病理と脳腫瘍、努力してみます。

竹山先生:

病理診断では海外の書籍や情報とともに、日本国内の情報も欠かせません。その辺りを電子配信のメディカルオンラインがカバーしてくれているのでとても助かっています。

ありがとうございます、最後にMOLイーブックスをまだ利用していない方へのメッセージをお願いできますか?

竹山先生:

検索ができるので、調べたいことを探す手間を大幅に削減することができます。あとは何といっても、複数人で調べる時に本の取り合いになりません(笑) 紙の書籍では誰かが本を使用していると、他の人は使えません。MOLイーブックスは同時アクセス無制限なので、そのようなことはありません。情報共有の際は、「ここに書いてあったよ」と伝えれば、複数人が同時に見ることができます。とても便利です。

本日はありがとうございました。

※中盤から野村先生は緊急対応にて離席されたため、後半以降は竹山先生のみのインタビューとなりましたこと、ご了承ください。

Profile施設情報

社会医療法人杏嶺会 一宮西病院 図書室

面積 90㎡
座席数 12席
担当職員 司書1名
PC インターネット閲覧用端末6台、電子カルテ端末7台
FAX・複合機 複合機1台、プリンター1台
蔵書数 約2000冊※各部署に置いてあるも含む
電子ジャーナルパッケージ 冊子体購読種類約50種類、メディカルオンライン、医書.jpオールアクセス、 ClinicalKey、Springer Hospital Editionなど

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