一次予防の脂質低下療法にApoB指標は有力:シミュレーション研究
Cost-Effectiveness of ApoB, Non-HDL-C, and LDL-C Goals for Primary Prevention Lipid-Lowering Therapy
背景
脂質低下療法(LLT)において、apoBはLDL-Cやnon-HDL-Cよりも動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の残余リスクを反映する優れた指標とされるが、一次予防でapoBを指標としたLLT強化を行う際の費用対効果は。
アメリカNorthwestern UniversityのLuebbeらは、2005〜2016年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した4,149名のデータを基に、コンピューター上で25万人規模の仮想集団(コホート)を再現・構築した。2025米ドル換算の生涯コストとQALYを用い、LLTにおいて各管理目標値へ強化した際の費用対効果を感度分析等で比較するシミュレーション研究を行った。
結論
apoB目標値(78.7 mg/dL未満)に基づくLLT強化は、最も質調整生存年(QALY)を延長させることが示された。non-HDL-C目標と比較した増加費用は4,020万ドル、獲得QALYは1324年であり、増分費用対効果比(ICER)は1 QALY獲得あたり3万300ドルと高い費用対効果を示した。
評価
従来の、「ApoBは検査代がかさむ」「non-HDL-Cで代用できる」という常識を覆す衝撃的な結論である。apoB検査の導入コストが極めて限定的であり、同指標を管理目標とすることが、長期的心血管健康維持に、コスト観点を含めても、non-HDL-C指標以上に寄与する可能性を示した。ガイドラインにインパクトを与える結果だが、RCTでなくシミュレーションモデルに基づく推論であり、実臨床環境における長期的アウトカムの改善等に関し、さらなる検証が行われることになる。


