AI音声入力(AIスクライブ)導入の臨床医の業務時間削減効果は「モデスト」
Changes in Clinician Time Expenditure and Visit Quantity With Adoption of Artificial Intelligence-Powered Scribes: A Multisite Study
背景
臨床医の電子カルテ(EHR)への入力負担は、燃え尽き症候群の要因として深刻視されており、AIによる自動文書作成ツール(AIスクライブ)はその解決策として期待されている。
アメリカUniversity of CaliforniaのRotensteinらは、臨床医8,581名を対象にAIスクライブの有用性を評価する縦断的コホート研究を行った。
一次アウトカムは、EHRの総作業時間、文書作成時間、勤務時間外や休日におけるEHR作業時間(これらはいずれも予定診療時間「8時間」あたりに換算)と、週あたりの受診者数であった。
結論
AIスクライブ導入により8時間の診療時間あたりEHR作業時間が13.4分、文書作成時間が16.0分減少した。週あたりの受診者数は0.49件増加した。特にプライマリケア医や女性医師、ツールの利用頻度が高い層でより大きな削減効果が確認されたが、勤務外のEHR作業時間には有意な変化はみられなかった。
評価
ホットなテーマで、初期にはドキュメント作成時間が半減する、などという報告もあったが、ここでの研究は、そのような効果がモデスト(たかだか10%以下)に留まる、ということを示した。特に、勤務外時間(パジャマ・タイム)の削減がなかった点については、AIが生成したメモの修正作業や、削減された時間が他のEHRタスクに充てられた可能性が指摘されている。本研究は導入初期段階の効果にフォーカスしたもので、長期的満足度や医療の質への影響については今後の評価にかかる。


