ICU患者への高たんぱく経腸栄養は有害か:PRECISe試験
Effect of high versus standard protein provision on functional recovery in people with critical illness (PRECISe): an investigator-initiated, double-blinded, multicentre, parallel-group, randomised controlled trial in Belgium and the Netherlands
背景
ICUに入室した重症患者では持続的な筋萎縮・筋力低下が生じ、退室後のアウトカムに悪影響を与える。欧米の一部ガイドラインではタンパク質の投与を推奨しているが、高用量のタンパク質投与を検証したEFFORT Protein試験は失敗に終わっている(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)02469-2)。
オランダMaastricht University Medical CenterのBelsら(PRECISe)は、オランダ・ベルギーの各5施設で、ICU入室後24時間以内に侵襲的人工呼吸器を開始し、3日以上持続すると予想される重症患者を、1.3 kcal/mLでタンパク質0.06 g/mLの標準タンパク質、または1.3 kcal/mLで、タンパク質0.10 g/mLの高タンパク質の経腸栄養へと割り付けるRCTを実施した(n=935)。
一次アウトカムは、ランダム化後30日、90日、180日時点でのEQ-5D-5Lのhealth utility scoreである。
結論
180日後のhealth utility scoreは、高タンパク群の患者で低かった(平均差 -0.05)。
追跡期間全体の死亡確率は、通常タンパク群で0.38、高タンパク群で0.42であった(HR 1.14)。高タンパク群の患者では胃腸不耐性の症状が多く発生し(1.76)、その他の有害事象に群間差はなかった。
評価
健康関連QOLを一次アウトカムとして高タンパク栄養の是非を検証した試験であったが、高タンパク経腸投与を受けた患者ではQOLが低下する傾向が認められた。
EFFORT Protein試験とあわせて、高用量(1日2.0 g/kg程度)投与に対する否定的エビデンスとなる。


