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カテゴリー: | その他 |
ジャーナル名: | The Lancet |
年月: | June 2020 |
巻: | 395 |
開始ページ: | 1763 |
【背景】
アメリカは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界中心となったが、初期に第一超大ホットスポットとなったのはニューヨークである。Columbia UniversityのO'Donnellらは、2020年3月2日〜4月1日に同大NewYork-Presbyterian Hospital関連2病院に入院した成人急性呼吸不全患者257名(同疾患入院患者の22%)の臨床経過と転帰を報告している。一次アウトカムは、院内死亡である。
【結論】
重篤患者の年齢中央値は62歳、67%が男性、82%に1つ以上の慢性疾患があり、最も一般的だったのは高血圧(63%)・糖尿病(36%)で、46%が肥満であった。報告最終時点で39%が死亡し、37%が入院中である。79%が18日間(IQR 9-28)のIMV(invasive mechanical ventilation)を受け、 66%が昇圧薬を投与され、31%が腎代替療法を受けた。院内悪化までの期間中央値は3日であった。多変量Coxモデルでは、高齢(aHR:1.31)・慢性心疾患(1.76)・慢性肺疾患(2.94)・IL-6高値(1.11)・Dダイマー高値(1.10)が院内死亡の独立予測因子であった。
【評価】
武漢・イタリアに続きNYからは2番目となる(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2765184)大ケースシリーズ報告である。前向研究として整備されたもので、初期におけるCOVID-19の標準像を示している。患者は80%が黒人・ヒスパニックであり、市中感染者か施設内感染者であるかの情報はない。なお、重症患者の5%を医療者が占めていることは注目される。