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カテゴリー: | その他 |
ジャーナル名: | The New England Journal of Medicine |
年月: | May 2020 |
巻: | Online first |
開始ページ: | Online first |
【背景】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は主に肺炎として現れるが、全身血管炎べースのあることが理解されつつある。Brigham and Women’s HospitalのMentzerらは、同死亡患者の剖検時に得られた7肺検体の所見を、インフルエンザA型(H1N1)感染後ARDS死亡患者および非肺炎死亡患者と比較した。
【結論】
COVID-19による呼吸不全死亡患者とインフルエンザ肺炎死亡患者とは、血管周囲へのT細胞浸潤を伴うびまん性肺胞傷害で共通した。さらに前者肺では、細胞内へのSARS-CoV-2の侵入と細胞膜破壊を伴う重度血管内皮損傷という特異な血管像を認めた。また、微小血管障害を伴う広範な血栓形成が特徴的であった。COVID-19患者では、肺胞毛細血管内微小血栓の存在がインフルエンザ患者の9倍であった。また、血管新生の重積(intussusceptive angiogenesis)による新生血管量がインフルエンザ患者の2.7倍であった。
【評価】
著者らはこれらの所見を「unexpected」とし、COVID-19肺炎の特徴を血管内皮炎と微小血管血栓症としている。ACE2との関連も示唆されており、対象患者規模の拡大によって検証されるべき有力な中心仮説を提出した。