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カテゴリー: | 生活習慣病 |
ジャーナル名: | The Lancet |
年月: | November 2020 |
巻: | 396 |
開始ページ: | 1511 |
【背景】
学齢(5-19歳)児のグローバルな健康・栄養実態は。英Imperial College LondonのEzzatiらは、非感染性疾患リスク要因に関する国際ネットワーク(NCD-RisC)データ(2,181の人口集団ベース研究)を統合し、1985-2019年における5-19歳の身長・BMIの年齢変化とその時間トレンドを解析した(193ヶ国6,500万人)。
【結論】
19歳の身長は、最高国(オランダ・モンテネグロ・デンマーク・アイスランド)と最低国(南アジア・東南アジア・ラテンアメリカ・東アフリカ・ティモールレステ・パプアニューギニア・グアテマラ・バングラデシュ)の間に20cmの差があった。これは、女子の場合8年の成長ギャップ、男子の場合6年の成長ギャップに対応する。35年間で平均身長の最大の改善は、中国・韓国・東南アジアの一部などの新興経済国で見られた。2019年の中国の19歳の男子は1985年より8cm高く、1985年の150位から2019年には65位に変化した。多くのサブサハラ・アフリカのこども、特に男子の身長は、この数十年にわたって停滞/低減している。19歳のBMIは、太平洋諸島・中東・米国・ニュージーランドで高く、インドやバングラデシュなどの南アジア諸国で最低であった。最低BMIと最高BMIの差は、9 BMI(約25kgの体重に相当)であった。
【評価】
この問題に関する最大の調査結果である。日本と一部のヨーロッパ諸国(イタリア・ロシア・デンマーク等)の男女は、思春期後期のBMIの変化が小さかったという。著者らは、世界中の学校が閉鎖され、多くの貧しい家庭が子供たちに十分な栄養を提供できないCOVID-19パンデミックは、更に格差を拡大するだろう、としている。