|
カテゴリー: | 救急医療 |
ジャーナル名: | Intensive Care Medicine |
年月: | January 2021 |
巻: | 47 |
開始ページ: | 14 |
【背景】
トラネキサム酸は、外傷性出血患者を対象としたCRASH-2試験において死亡率低下効果を示したが、外傷性脳損傷(TBI)患者ではエビデンスに不一致がある。カナダMcMaster UniversityのLawatiらは、システマティックレビュー・メタアナリシスにより、急性TBI患者におけるトラネキサム酸の安全性・有効性を検証した。
【結論】
9件のランダム化比較試験、14,747名の患者が含まれた。トラネキサム酸は、血腫の拡大を軽減する可能性があったが(リスク比0.77)、死亡率(リスク比0.95)と障害(Disability Rating Scale)に影響しなかった。有害事象リスクはプラセボと同等であった。
【評価】
トラネキサム酸により血腫の拡大を抑制する可能性は示唆されたものの、死亡や障害の程度に有意な差は認められなかった。TBIに対してはトラネキサム酸を用いないという選択も正当化されるだろう。