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カテゴリー: | 救急医療 |
ジャーナル名: | Critical Care Medicine |
年月: | July 2020 |
巻: | 48 |
開始ページ: | 946 |
【背景】
重症疾患からの回復過程にある患者の、ICU退室と一般病棟への転棟時の安全性はどのようなものか。カナダUniversity of Calgary and Alberta Health ServicesのSauroらは、同国10施設の内科・外科成人ICUにおいてICU退室患者(n=451)のカルテレビューを行い、有害事象の発生率とこの有害事象を予測可能か調査した。
【結論】
84名(19%)が有害事象を経験し、このうち62%が転棟3日以内に発生した。ほとんどの有害事象(77%)は症状のみで障害・死亡などのより悪い転帰を伴わず、36%は予防可能であった。有害事象のあった患者では、ICU再入室リスクが高く、入院期間が長くなり、院内死亡リスクも上昇した。有害事象・ICU再入室・院内死亡に関するICU医と病棟医の予測精度は低かったが、ICU再入室についてはAUC 0.69・0.77と比較的高かった。
【評価】
永続的な障害や死亡は稀であったものの、ICU退室後患者の大半で何らかの症状を伴う有害事象があった。これら有害事象の予測は困難であったが、予防可能なものも多く、安全性改善に向けた重要な機会であろう。