医療裁判紹介バックナンバー

  • H大学I病院O医師が,患者A(男性,大正15年生まれ)に右仮声帯の腫脹と嗄声の持続を確認した場合には,速やかに喉頭癌の確定診断をしたうえで放射線治療を開始すべき義務があることを前提として,生検を受けるか否かを決定する患者の自己決定権を侵害したとして200万円の慰謝料が認められた事例。(東京地方裁判所平成23年3月23日判決)

  • 分娩目的で入院した患者が入院中に脳内出血を起こし死亡したことに関し,意識を失った時点でCT検査を実施し,速やかに専門病院へ転送すべき義務があったとして損害賠償請求訴訟が提起された事例。(大阪地方裁判所平成22年3月1日判決)

  • 本件は,生命保険会社であるA社が,O医師に対して,Bについて虚偽内容の障害診断書を作成したと主張して損害賠償請求した事案である。これは,いわゆる和歌山毒カレー被告事件がらみのもので…(大阪地方裁判所堺支部平成14年4月26日判決)

  • 本件は,Aは,Hが開設するI病院を受診した後,帰宅途中に救急搬送され,急性心筋梗塞により死亡したところ,Aの相続人Bらが,I病院のO医師に診療上の過失があると主張して,Hに対し不法行為に基づく損害賠償請求をした事案である。第1審は,Bらの請求を一部認容して損害賠償を認めたことから,Hが,これを不服として控訴したところ,O医師がAに見られた所見から急性心筋梗塞を含む急性冠症候群の疑いを持つことが可能であったと認めることはできないとして,第1審の認容部分を取り消し,Bらの請求を棄却したというのが本判決である。(福岡高等裁判所平成22年11月26日判決)

  • 本件は,H病院の担当職員が,新聞社に情報を提供して,新聞社の発行する日刊紙に,Aの名誉を毀損する記事を掲載させたことにより精神的損害を被ったとして,Aが,その職員の使用者であるH病院に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事件である。(東京地方裁判所平成23年5月31日判決)

  • 後縦靭帯骨化症前方除圧術の除圧幅についての判断基準として,基礎となっている論文等が診療行為時に既に発表されていることを理由とし,診療行為時には策定されていなかったガイドラインが裁判所の判断に採用された事例(大阪地方裁判所平成21年11月25日判決)

  • CT検査のため,非イオン系ヨード造影剤を注入された患者がアナフィラキシー様ショックを起こし死亡した件につき,検査前の問診がまったく行われていないとして,問診義務違反及び結果との間の因果関係が認められた事例(東京地方裁判所平成15年4月25日判決)

  • H病院において分娩後に羊水塞栓症からDICとなった患者A(女性,41歳,今回が3度目の出産経験)について,O医師が輸血の緊急手配を指示したにもかかわらず,赤十字血液センターへの電話連絡上の過誤により30分遅れ,最終的に患者Aが死亡したことについて,患者が適切な医療行為を受ける期待権を侵害したとして60万円の慰謝料が認められた事例。(大阪地方裁判所平成23年7月25日判決)

  • 口蓋扁桃肥大,睡眠時無呼吸症候群と診断された患者に対し,口蓋扁桃摘出術を実施したところ,手術後に口腔内から出血,これにより患者が窒息したため心肺停止後蘇生するも,患者において,低酸素脳症を発症,遷延意識障害,四肢麻痺等の症状が遺残した事案。(広島地方裁判所平成23年2月23日)

  • 化学療法実施後に非小細胞肺ガン(ステージIV期)を再発した患者に対し、第II相臨床試験中の抗ガン剤の試験参加を勧め実施されたが、薬剤性間質性肺炎に罹患し死亡したことに関し、不適切な治験薬投与であったこと及び説明義務違反があったことを理由に損害賠償請求訴訟が提起された事例。(大阪地方裁判所平成23年1月31日)

  • マイリスVT(子宮頸管熟化剤)及びプロスタルモンE(分娩誘発剤)の投与後に胎児心音が急激に低下し帝王切開により娩出された新生児Aが,重度の虚血性低酸素性脳症に罹患し,約2年4か月後に死亡した事案。(大津地方裁判所平成23年1月13日判決)

  • 本件は,O歯科医師の歯科治療(抜歯手術)により下顎骨骨折等の傷害を被ったとするAが,O歯科医師の相続人Pに対し,不法行為又は治療行為の債務不履行に基づき,損害賠償を求めた事案である。(富山地方裁判所平成19年1月19日判決)

  • 続発緑内障等の治療中であったAが,失明したのはH病院O医師らの過失によるものとして,損害賠償を請求した事案(請求額:患者から1億5993万9849円,患者の妻Bから550万円)。(東京地方裁判所平成20年2月20日判決)

  • 患者Aが,Hクリニックにおいて,精管結紮術による断種手術を受けたところ,その手術後において,Aの妻であるBがAの子を妊娠したことから,同治療に関する施術上の過失および説明義務違反を理由として,A,Bらそれぞれが,債務不履行または不法行為に基づく損害賠償を請求した事案(仙台地方裁判所平成22年9月30日)

  • 入院中の患者A(男性,66歳)について,H病院担当医が常用量の5倍のベナンバックスを処方指示し,薬剤師が処方せんのままに調剤して,患者に投与された結果,患者Aが死亡したことについて医師・薬剤師に約2365万円の損害賠償義務が認められた事例。(請求額約1億391万円)(東京地方裁判所平成23年2月10日判決)

  • C社の従業員Aは,業務中に負傷し,H病院でO医師の診察・治療を受けたが,その後,C社に対して,業務中の負傷に関して損害賠償請求訴訟 (別件訴訟)を提起した。この別件訴訟において,H病院でのAの診療経過が明らかにされたことから…(さいたま地方裁判所川越支部平成22年3月4日判決)

  • 大動脈弁閉鎖不全症等により突然死の危険性があった患者A(47歳男性),に対し,担当のH医師が複数回にわたり入院精査をするよう説得したが,Aはこれを拒否し続けた。そこでHはAを経過観察としたが…(東京地裁平成18年10月18日判決)

  • 患者A(男性,19歳)について,イレウスを念頭においた鑑別診断及び治療を怠った過失があるとして約2100万円の損害賠償請求が認められた事例。(仙台地方裁判所平成22年5月24日判決)

  • 手術の際に眼球周辺に異物を遺残されたことにより強い精神的苦痛を受けたとしてなされた損害賠償請求につき、その請求を一部認容した事案。(東京地裁平成22年8月30日判決)

  • 予期せぬ後遺症が遺残した患者に対し、診療録等を示しながら治療の顛末について説明すべき義務があるにもかかわらず、これを怠ったとして損害賠償請求された事案。(大阪地裁平成20年2月21日判決)

  • Hが開設するI病院において,同病院に勤務していたO医師の執刀により,下肢の骨接合術等の治療を受けたAが,同手術による合併症として下肢深部静脈血栓症を発症し,後遺症が残ったとして,Hらに対し不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。(最高裁平成23年2月25日判決)

  • 臨床病理センターの誤報告に基づき,真実は母親のRh式血液型がRh(−)であるにもかかわらず,母子手帳にRh(+)と記載したことによって,Rh血液型不適合妊娠への対応が取られなかった結果,新生児溶血性疾患が生じ…(札幌地方裁判所昭和57年12月21日判決)

  • 肺がんの治療のためにH病院(大学病院)に入院していた患者に対し,担当医が輸液目的でCVカテーテルを挿入したことに対し,CVカテーテルの挿入手技を誤り,胸背部痛に苦しむ患者を放置した。(東京地裁平成22年9月27日判決)

  • 肺動脈奇形に対する根治手術を受けた患者が同根治手術中に低酸素脳症となり,手術から4年9か月後に死亡した。(津地裁平成22年1月28日判決)

  • H病院(医大付属病院)において肝細胞癌と診断され開腹手術を実施したが術中に細胞癌が見つからず,その後肺癌で死亡した。(京都地方裁判所平成14年3月12日判決)

  • 入院診療が必要でない患者が,5年以上にわたり入院を継続し退院を拒否し続けたため,医療機関側が患者に対し,病院からの退去等を求めて訴訟を提起した。(名古屋高裁平成20年12月2日)

  • 生体肝移植手術後,患者がMRSA敗血症に起因した感染性心内膜炎を発症し,この感染性心内膜炎の結果から発生した脳出血を原因として死亡した。(名古屋地裁平成19年2月14日)

  • H大学歯学部に在籍中,HIV感染症の診断を受け,別の大学医学部附属病院において受診していた患者が,病院の医師がHIV感染症に係る病状を本人の承諾なくカルテに基づきH大学歯学部教授に対して漏示した。(東京地裁平成11年2月17日判決)

  • 同種末梢血幹細胞移植のドナーとなるため,顆粒球コロニー刺激因子製剤の投薬を受け,末梢血幹細胞採取が実施された際,医師に診療ガイドライン遵守義務違反および説明義務違反があり,学会には,診療ガイドライン遵守に関する監視義務違反が・・・(大阪地裁平成19年9月19日判決)

  • 美容整形外科を診療科目とするクリニックにおいて,下顎骨角部の張り出し部分の切除術を受けた患者が,手術の際に手術部位に線状骨折が生じ,その後長期間にわたる治療を受けることを余儀なくされ…(東京地方裁判所平成20年9月25日)

  • 膵臓がんに対する全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行したところ,術後縫合不全が生じ,動脈出血を繰り返した後,患者Aが多臓器不全により死亡した。(東京地方裁判所平成15年1月31日判決)

  • 左下7番抜髄の際,失活剤である亜砒酸を過剰に貼付したところ,左下顎骨骨髄炎を発症,左オトガイ神経麻痺による麻痺,知覚異常等の障害が残存した。(京都地方裁判所平成16年5月26日判決)

  • 白内障手術を受けた患者が,手術時の手技ミス及び術前の無菌処置の不徹底により,術後眼内炎に罹患し左眼を失明した。(東京地方裁判所平成13年1月29日判決)

  • 医師が,職場の定期健康診断において撮影された胸部X線写真の異常陰影の2年にわたる見落としの結果,肺がんで死亡したが…(名古屋地方裁判所平成21年1月30日判決)

  • 腹痛などを理由にH病院に救急搬送された患者に対し,急性胃腸炎と診断して入院させていたところ,入院翌日に絞扼性イレウスで死亡した。(横浜地裁平成21年10月14日判決)

  • 自治体の保健センターが実施した健康診査において,血液検査のための採血後,患者に採血部位の変色,痛み,痺れ,腫れ等が生じ,左内側前腕皮神経及びこれと左尺骨神経との交通枝が損傷され,左上肢にカウザルギーを発症した。(東京地方裁判所平成19年4月9日判決)

  • 4歳児に対する抜歯の際,抜去歯を口腔内に落としたため,その幼児が気道閉塞によって窒息死した。(浦和地方裁判所熊谷支部平成2年9月25日判決)

  • 交通事故により痙性斜頚を発症した患者に対し,適応のないアドリアシン注入術を行った。(大阪地裁平成20年2月13日判決)

  • 食欲不振などを理由にH病院に入院していた患者に対し,夕食の一部としておにぎりを提供したところ,これを誤嚥して窒息しその後死亡した。(福岡地裁平成19年6月26日判決)

  • 夜間せん妄等の傾向のある患者が,入院中に看護師により抑制具(ミトン)を用いて両上肢をベッドに拘束された。(最高裁判所平成22年1月26日第三小法廷判決)

  • 急性心筋梗塞の患者が病院で診察を受けた後,他の病院に転送されたが心室細動を発症して死亡した。(神戸地裁平成19年4月10日判決)

  • 仙骨部骨巨細胞腫摘出及び骨盤再建手術の過程において,加圧輸血による血液が大量に血管外に漏出し,その漏出した血液が頸部の静脈を圧迫した結果,患者が脳虚血等による脳出血となり…(広島高等裁判所岡山支部平成10年1月29日判決)

  • 注射針の穿刺に際して注射針で手の背側指神経を傷つけないように細心の注意を払うべき注意義務に違反して注射針を深い角度で穿刺した。(東京地方裁判所平成20年7月28日判決)

  • 末期癌で死亡した患者について,医師が患者の家族に対して病状等を告知しなかった。(最高裁判所平成14年9月24日判決)

  • 大学病院に入院中の患者に対し抗がん剤が過剰投与されたことにより患者が死亡した際,その死亡原因につき隠蔽行為があったとして患者の相続人らが損害賠償を求め…(東京高等裁判所平成15年7月15日判決)



これまで公開された裁判判例の中から、医療従事者にとって医療の現場の教訓となるような事案を紹介し、解説しています。
執筆・編集は、医療裁判を多く手掛ける弁護士が行っています。
「メディカルオンライン医療裁判研究会」弁護士(50音順)
伊藤友哉、梶英一郎、加藤愼、菊池不佐男、北澤龍也、小林和人、関口岳史、棚瀬慎治、辻本浩基、寺西康一郎、三輪修平

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