医療裁判紹介バックナンバー

  • アルコール依存症を合併した境界性人格障害の患者(女性,31歳)の主治医が,患者を他県にある医療機関に搬送するに際して,窒息の危険性のある搬送方法を採ったにもかかわらず,搬送経験や医学的知見に乏しい看護学生および事務員に搬送を委ね,自らは搬送に同行しなかった結果,搬送途中で患者が窒息死した……(東京地方裁判所平成16年10月27日判決 )。

  • 当時約2歳1ヵ月であった患者(男児)が,腹痛を訴え,病院を受診した。診察した医師は,患者は急性呼吸循環不全で初期集中治療による救急救命措置が必要であると判断したが,病院では担当した医師しか小児科医がいないため集中治療ができず,さらに医師は気管内挿管の処置が行えなかったため,他院へ転送することとなった。その際,転送先候補として,救急車で10分程度の呼吸循環回復の処置ができる第2次小児救急病院と,救急車で30分強の外科的処置もできる第3次救急病院があったが,喫緊で必要な処置はすべてできる,より近い第2次小児救急病院へ転送することになった……(さいたま地方裁判所平成26年5月29日判決)。

  • 妊婦(事故当時41歳)は,高齢出産であることを考慮して,羊水検査を受けた。結果は,胎児がダウン症であることを示す染色体分布図であったが,医師は検査報告書を誤解し,妊婦に対し,検査の結果,ダウン症は陰性である旨の説明を行った。後日,妊婦の羊水が枯渇し,胎児が弱ったことから,他院に救急搬送され,帝王切開手術で出産したが,子どもはダウン症であった。その後,この子どもは,ダウン症を原因とした肝不全により死亡した……(函館地方裁判所平成26年6月5日判決)。

  • 赤痢アメーバ症により2度におよぶ開腹手術を受けたが入院中に死亡した患者(本件当時30代男性)の母が,治療に関する複数の過失や死因についての説明義務違反等があると主張し,手術を行った病院を開設運営する法人および担当医らに対し損害賠償を求め訴訟を提起した……(東京地方裁判所平成22年9月30日判決)。

  • 医師であった患者(男性・90歳)が,発熱,脱水等に対する入院加療中に誤飲性肺炎(判決文の記載。以下同じ)による急性呼吸不全で死亡した。担当医は,人工呼吸器による治療を希望しないとの患者名義の書面が入院中に作成されていたことから,できるだけ人工呼吸器を装着せず抗生剤投与を中心とする治療を行った……(東京地方裁判所平成21年12月10日判決)。

  • アイナメの刺身,ピザを食べた後にじんま疹,腹痛,嘔吐および下痢が出現したとして夜間救急を受診した患者(男性)に対し,造影CT検査を行ったところ,アナフィラキシーショックを発症し,救命措置を行ったものの死亡した……(東京地方裁判所平成21年2月23日判決)。

  • 右肩石灰沈着性腱板炎と診断された患者(当時34歳,男性)が,鏡視下肩関節形成術および石灰摘出術を受けた。しかし,手術後も患者はしびれや疼痛を訴えたため,病院はリハビリを指示。患者は指示通りリハビリを行うが,疼痛は改善しなかった。その後,ピリピリ感や発赤が認められたことから,医師の勧めで患者はペインクリニックを受診したところ,右上肢から手指にかけて腫脹,疼痛,しびれ,筋力低下等の症状が認められ,CRPSが疑われた……(名古屋地方裁判所平成25年4月12日判決)。

  • 早期胃癌の発見された男性患者(当時70歳)が,病院で胃癌摘出のための切除手術(幽門側胃切除術およびRoux-Y吻合術)を受けたが,その翌々日,十二指腸断端部付近に穿孔があること,および穿孔から漏出した消化液により前縦隔炎を発症していることが判明し,約2週間後に多臓器不全のため死亡した……(岡山地方裁判所平成23年7月12日判決)。

  • 歯並びが気になっていた患者(女性,22歳)が,知人の友人からの紹介で歯科クリニックに行き,補綴矯正を受けた。しかしその後,歯肉に痛痒さを感じるようになったため,他の歯科クリニックへ通院したところ,歯肉炎,歯周炎,リーマー残置等が認められた……(東京地方裁判所平成24年9月13日判決)。

  • 患者(女性,事故当時31歳)は,豊胸のため乳房内に挿入していたインプラントの抜去と脂肪注入による豊胸術を受けようと思い,クリニックを受診した。しかし,受診した際に観た脂肪注入術に関するDVDの内容が,希望するような十分な豊胸効果が期待できない等,受診前に電話で問い合わせた際の説明内容と異なることから,患者は医師から直接説明を聞きたいと看護師に伝えたが,「手術の申込書にサインをしないと医師には会えない」,「今キャンセルすれば100%のキャンセル料がかかる」と言われ,結局,患者は手術申込書にサインをした……(東京地方裁判所平成25年2月7日判決)。

  • 植込み型補助人工心臓の治験に参加し,人工心臓植込み手術を受けた患者(当時39歳あるいは40歳女性)は,術後約1年3ヵ月後に胃穿孔を起こし,さらにその約1ヵ月後に脳出血により死亡した。これを受けて,遺族らは,本件植込み手術の実施は治験実施計画書(プロトコル)において定められた被験者の除外基準に違反するものであり,民事法上も違法と評価されなければならない等と主張し,同治験が行われた病院の運営主体である学校法人に対し損害賠償を求めて提訴した……(東京地方裁判所平成26年2月20日判決)。

  • 顔面神経減圧術を受けた患者(本件当時47歳女性)が硬膜外血腫を生じた後,小脳梗塞を発症し術後15日目に死亡した。患者遺族は,手術を行った病院の運営主体である医療法人に対し,硬膜外血腫の際に頭蓋内圧を下げるための高張減圧剤を使用しなかった等と主張して,損害賠償を求める訴訟を提起した。医療法人は,当該薬剤の添付文書上,硬膜外血腫が疑われる場合の使用は「禁忌」とされている等と反論したが,裁判所はこの主張を排斥し,医療法人の損害賠償責任を認めた(大阪地方裁判所平成16年2月12日判決)。

  • 歯科医院で補綴矯正治療の際,左上1番から3番,右上1番から3番の根管治療を受けた患者(女性,当時25歳)が,治療後,根尖性歯周炎に罹患したとして,担当歯科医師には,根管治療について,1.根尖部まで緊密に根管充填するべき注意義務違反がある,2.抜髄に際し説明義務違反がある等と主張して,損害賠償を請求した事案である…(東京地方裁判所平成23年2月14日判決)

  • 子宮体癌で子宮全摘手術を受けた患者(女性,死亡当時62歳)が,術後の抗癌剤治療(TC療法)を一度は受けないと医師に伝えたが,医師の説得により受けることとなった。治療が開始されると第1クール後に発疹が生じたが,医師はパクリタキセルの再投与は問題無いと判断し,第2クールを実施。その直後,ショック症状を起こして患者は死亡した…(大阪地方裁判所平成25年2月27日判決)

  • 患者(男性,死亡当時75歳)が進行性の前立腺癌に罹患していたため,医師が癌の告知をした上で,適切な治療法等を説明したが,患者がこれを拒否し,その後死亡した。本件は,患者の相続人である家族が,医師に対し,(1)患者に対し前立腺癌の告知をしなかった,または不十分な説明であった過失,(2)患者に適切な説明 がされていたとしても患者の家族に対する告知義務を怠った過失がある等と主張して,損害賠償を求めた事案である…(名古屋地方裁判所平成19年6月14日判決)

  • 患者(女性,当時50歳)が病院で胃癌(低分化腺癌・グループV)との診断を受け,胃の亜全摘手術を受けたが,術後に胃癌ではなかったことが判明した。本件は,患者が,病院に対し,病理の担当医師には病理診断を誤った過失,臨床の担当医師らには,術前の検査結果をふまえて,病理の担当医師らと意見交換を行うなど症例の再検討を怠った過失があると主張して,損害賠償を求めた事案である…(東京地方裁判所平成23年5月19日判決)

  • 標準的な体形に比べ比較的小柄な高齢者である患者(本件当時82歳女性,身長146cm,体重42.5kg)が脊椎麻酔の後,大腿骨頸部骨折の接合手術を受けたが,手術終了直後に急性循環不全に陥り死亡した。本件は,患者遺族が病院の運営主体である医療法人に対し,担当医の麻酔管理等に過失があったとして損害賠償を請求した事例である…(福岡高等裁判所平成19年5月29日判決)

  • アメリカ合衆国内の病院で未破裂脳動脈瘤が見つかった患者(女性,手術当時53歳)が,開頭手術を提案されるも,日本でセカンドオピニオンを受け るため帰国し,大学病院を受診した。患者は,術前に担当医師から,手術内容と手術の危険性について説明を受け,承諾書に署名押印の後,未破裂脳動 脈瘤に対してコイル塞栓術を受けた。しかし,手術直後に脳内出血が生じ緊急開頭手術が実施され,患者には左上下肢機能障害の後遺症が残存した…(仙台地方裁判所平成25年1月17日判決)

  • 患者(30歳代,男性)が,近視矯正目的のためクリニックを受診してレーシック手術を受けたところ,術前の左眼が裸眼視力0.1,矯正視力1.2であったものが,2度のレーシック手術を経て裸眼視力0.01,矯正視力0.1(眼鏡による矯正),0.3(ハードコンタクトレンズによる矯正) に低下したと訴えた。本件は,患者がクリニックを経営する医療法人とレーシック手術を施行した医師に対して,薬事法14条による製造販売の承認を得ていない医療機器は安全性が確認されておらず,そのような医療機器を使用したために視力が低下したなどと主張し…(東京地方裁判所平成20年1月30日判決)

  • MD双胎と診断された母親(年齢不明)が大学病院産婦人科において予定帝王切開により分娩したところ,第2児(性別不明)は問題なく生まれたものの,第1児(性別不明)が重度の脳障害を負って生まれた。第1児の出生に先立ち,手術予定日の4日前と手術当日にPreload Index(PLI)の異常値,手術当日,ノンストレステスト(NST)における継続的な頻脈と基線細変動の減少,胎児振動音刺激試験(VAST)に対する無反応等の異常所見が認められていた…(仙台地方裁判所平成24年7月19日判決)

  • 注射による菌感染(PDF、293KB)PDF

    患者(女性,25歳)は,クリニックを受診し,美容目的で脂肪溶解剤を皮膚または皮下脂肪層に注射するメソセラピーを受けた。治療後,注射部位に数十箇所におよぶ多数の発赤,潰瘍形成等が生じ,原因を探索したところ,非結核性抗酸菌感染症と診断された。本件は,かかる非結核性抗酸菌感染症は,診療用器具の消毒が不完全であった,または,注射液が汚染されていたにもかかわらず,確認を行わず注射を行った過失により発生したものであるとして,クリニックの開設医が患者より損害賠償を求められた事案である。(東京地方裁判所平成24年10月31日判決)

  • 患者(女性,70歳)が,居酒屋での支払いの際に小銭をぼろぼろとこぼし,その様子を見た店員が,脳梗塞を疑い119番通報を行った。救急搬送先 の消化器外科専門の当直医は,患者の状態が意識清明で痙攣や麻痺も無かったことに加え,一過性脳虚血発作(TIA)は意識障害を伴うと誤認していたため,TIAではないと判断し,翌日検査を受けるよう伝えて患者を帰宅させた。翌日,患者を診察した内科専門の担当医師は,MRI等の各種検査の結果から,陳旧性脳梗塞,多発性脳虚血と診断,特別な治療はせずに患者を帰宅さ せた。なお,この医師は,前日診察した当直医を他の同姓の循環器専門医と誤解し…(福岡地方裁判所平成24年3月27日判決)

  • 患者(女性,59歳)は,頭痛を主訴に病院で検査を受けた結果,大脳右側に直径10mmの無症候性未破裂脳動脈瘤と,大脳左側に直径2〜3mmの未破裂脳動脈瘤が認められ,両側中大脳動脈瘤と診断された。患者は手術を受けるべきか悩むも,医師の説明を受けた後,両側の脳動脈瘤に対する一期的動脈瘤頸部クリッピング術を受けた。しかし,手術後,患者は左側前頭葉および左側被殻の脳梗塞,ならびに右側穿通枝の脳梗塞を発症し,四肢筋力低下,軽度の右麻痺,軽度の認知症,パーキンソン症候群の後遺症が残存した…(岐阜地方裁判所平成21年11月4日判決)

  • クリニックのメンタルケア科でうつ病との診断を受けた男性(当時44歳)が,動悸,呼吸困難,胸部痛等を感じて病院に3度救急搬送されるもその原因は特定されなかった。その後受診した病院の医師は,患者の症状はうつ病の症状であり,やや焦燥型うつ病に近い病型でパニック発作を伴っていると 診断した上で,患者に対して「衝動的な行為は避けてください。早まったことはしないでください」等伝えて帰宅させたが,同日患者は自殺した…(東京地方裁判所平成24年9月27日)

  • 男性(当時60歳)は,痔の治療のため,肛門科等を標榜するクリニックを受診し,同クリニックの医師により,痔核に対し直接注射をする最新のジオン注射療法を受け帰宅したところ,数日後に下痢,下血等を生じた。そこで男性は,クリニックに電話をし,症状を訴えたが,医師は「心配なら来なさい」と述べるに留めた。その後,男性は後医において,直腸潰瘍および狭窄により回腸人工肛門増設術を受けるに至った…(横浜地方裁判所平成22年4月14日判決)

  • 新生児期,乳児期に完全大血管転位症の手術を受け,脳梗塞および低酸素脳症を発症し,右上肢麻痺,右下肢不全麻痺,てんかん,知的障害の各障害を負った患者(事故当時23歳)が,肺炎治療のために入院し,その入院中の明け方に医療事故が発生した。患者は,事故当時,人工呼吸器を装着していなかったものの,気管切開して装着していたカニューレから呼吸を行っている状態であった。そして,看護師の判断で心電図,心拍数および呼吸数が表示されるモニターを装着していたところ,カニューレが抜けかけて,瞳孔が散大し,呼吸停止の状態で看護師に発見された…(神戸地方裁判所平成23年9月27日判決)

  • メタルボンドブリッジ治療を受けた患者が,より審美性を追求したいと考え,別のクリニックでジルコニアブリッジ治療を受けた。しかし,ジルコニアブリッジを装着してわずか3週間ほどで,破折のために除去せざるをえなくなった。本件は,ジルコニアブリッジの適応性について調査を怠った点に注意義務違反があったなどとして,患者が歯科医師に対し,損害賠償訴訟を提起した事案である。審理の結果,請求は一部認容された。(東京地方裁判所平成24年1月19日判決)

  • 原告(当時31歳,性別不詳)は,原動機付自転車で運転中,転倒し,翌日入院した。入院先の担当医師は,右上腕骨近位端骨折と診断し,整復固定術を施行。手術後,原告は疼痛を訴えながらもリハビリテーションを受けていたが,骨折部に転位が発覚した。担当医師が再手術を行う必要性があることを伝えたところ,病院に対して不信感を抱いた原告は大学病院へと転院。その後,原告は,後医にて髄内釘固定術およびリハビリテーションを受けたが,右肩関節の拘縮を来し,可動域制限が残存した…。(名古屋地方裁判所平成15年12月25日判決)

  • 嗄声を自覚した男性(当時67歳)が,検査の結果,食道扁平上皮癌,左側反回神経リンパ節転移と診断された。大学病院において,化学放射線療法を受けた後,食道全摘術,食道胃管縫合術,左反回神経合併切除術を受けたところ,肺炎および嚥下障害を来し,その後胸水貯留などを併発して,手術から1年6ヵ月後に死亡した。本件は,男性の遺族が,術前の化学放射線療法によって肺炎や嚥下障害の発生頻度が高くなる等に関して,十分な説明がなかったとして大学病院を訴えたところ,十分に説明したとする大学病院側の主張が認められた事例である。(東京地方裁判所平成22年1月15日判決)

  • うつ病と診断された女性(死亡当時43歳)が通院期間中に過量服用を繰り返した後,最終的に診療時間外に過量服用したことが原因で死亡した。本件は,精神科医が女性に対して抗うつ薬を処方するに際し,ほぼ毎回診察に同行していた女性の夫に対して,過量服用した場合には,医療機関の診療時間でなければ119番通報することを含めてただちに医療機関を受診するように指導すべき注意義務があったとされた事例である…。(大阪地方裁判所平成24年3月30日判決)

  • 進行胃癌と左腎癌に対する手術を受けた男性(胃癌手術当時64歳)が,その後,年に2〜4回,経過観察として腫瘍マーカーのひとつであるCEAの測定を受けていた。数年後,男性はCEA値が軽度上昇した後,大腸癌およびこれに起因する多発性肝癌を発症し,結腸左半切除術,肝部分切除術,ラ ジオ波焼灼術(RFA)を受けたが,肝不全で死亡した。本件は,男性の相続人である妻と子どもが,病院に対し,大腸癌の確定診断に必要な検査を怠った過失があったと主張して損害賠償を求めた事例である。審理の結果,請求は棄却された。(東京地方裁判所平成23年3月24日判決)

  • 乳房のしこりを自覚して来院した女性(当時56歳)に対し,超音波検査,マンモグラフィー検査等を行い,乳腺症と診断し,経過観察とした。2回目,3回目の検査にて乳腺嚢胞と診断したが,4回目の検査において乳癌が疑われ,細胞診検査にて悪性と診断された。その後,女性は乳房切除術等を受けたが,死亡した。本件は,女性の遺族が,2回目もしくは3回目の検査において,細胞診検査を実施すべき義務を怠ったとして損害賠償を求めたものである。審理の結果,原告の請求は一部認容された。(仙台地方裁判所平成24年5月7日判決)

  • 血管腫の疑いがあると診断された女性(当時40歳)が大学病院に入院後,採血検査の結果,播種性血管内凝固症候群(DIC)の状態にあると判定されたため,原因探索のため肝生検が実施された。その結果,女性は皮下脂肪織炎様T細胞性リンパ腫(SPTCL)と診断され,翌日から3種類の抗腫瘍剤とステロイドを併用投与する多剤併用療法(CHOP療法)が開始された。その後,腹部エコー検査を実施したところ,肝臓に腫瘤様の塊が見られ,CT検査とMRI検査が実施された結果,腫瘤様の塊は,胆汁瘻,血腫,膿瘍のいずれかであることが疑われた…。(東京地方裁判所平成22年1月22日判決)

  • 地元の病院で排卵誘発治療法(hMG-hCG療法)による不妊治療を受けていた女性が,卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と診断され入退院したが,第1子を無事出産した。第2子を希望した女性は,再び同じ病院でhMG-hCG療法を再開。女性が担当医の指示に従わずに実家へ帰省した後,帰省先の病院でOHSSの診断を受けて入院することとなった。その後,第2子の妊娠が明らかになったが,OHSSが増悪したため人工中絶手術を受け,その2日後に突然チアノーゼと呼吸困難が発生し死亡した…。(横浜地方裁判所平成16年12月27日判決)

  • 酩酊して交通事故を起こした男性が,病院に救急搬送された。男性は,医師らの説明,説得にもかかわらず検査の続行を拒否して警察の事情聴取へと向かったが,警察署でスポーツ飲料を飲んだ途端に倒れて,再度救急搬送されたものの死亡した。本件は,患者の妻子が,医師には診療を続行すべき義務の違反があるなどとして損害賠償を求めたものの,審理の結果,請求が棄却された事案である。(札幌地方裁判所平成13年4月19日判決)

  • 子宮腺筋症,子宮頸管ポリープと診断された女性(45歳)が腹式子宮全摘出術を受けた。手術前,女性は過去の筋弛緩剤や鎮痛剤による副作用の経験から,手術の際に使用する麻酔薬に対して不安を持っていたため,麻酔科医の説明を求めたが,女性の不安は医学的根拠がないということもあり,麻酔科医から十分な説明がされることはなかった。本件は,手術後,女性の足に疼痛,痺れ等の症状が生じたため,麻酔科医に対して,不安を解消させる説明が果たされていないと損害賠償請求された事例である。(東京地方裁判所平成20年5月9日判決)

  • 喘息の既往のある女性(36歳)が頭痛,左肩の痺れ,左背部の張り等を訴えて病院の循環器科を受診した。問診した医師は主訴等から大動脈炎症候群 を疑い,副作用発現の際の対策を講じた上で,「喘息のある患者」が添付文書上原則禁忌とされている造影剤を用いて造影CT検査を実施。この造影 CT検査実施の際,喘息発作が発現したことについて,女性が病院,担当医師に対して,喘息の既往がある患者に造影CT検査を行った過失,ならびに 副作用の危険性と検査の必要性の説明を怠った過失があるとして100万円の慰謝料請求をした事例である(東京地方裁判所平成19年7月20日判決)

  • 医師会が運営する介護老人施設にパーキンソン病,神経症,抑うつ状態,眩暈症等の診断を受けた女性(当時79歳)が入所した。女性は入所時,見守りが必要であるも,杖を使えば少しよろけながらも一人で歩ける状態であった。しかしその後,転倒を繰り返し,幻覚等の症状が出てきたことから,施設側は女性を認知症専門棟へ移動させ,夜間に見守りをしやすいよう見通しの良い場所にベッドの位置をずらす等の対策を取った。しかし,夜勤の介護福祉士が気づかないうちに女性は転倒し,左大腿骨転子部を骨折した…(東京地方裁判所平成24年3月28日判決)

  • 患者(女性,当時29歳)は無気力,気分の落ち込み,不眠等を訴え,クリニックを受診した。対応した医師は患者の症状を軽度のうつ病と診断し,エチセダン,リタリン,アサシオンを処方。その後,患者は定期的にクリニックを受診し,各回,薬剤の処方を受けていた。しかし,ほどなくして担当医師は患者の母親から,患者の身勝手な行動,リタリンの薬物依存的な服薬状況を理由に薬剤の処方の中止を求められた…(横浜地方裁判所平成23年9月28日判決)

  • 患者(女性,手術当時47歳)が上腹部痛,背部痛等により受診し,閉塞性黄疸,総胆管結石の疑いで入院となった。内科の担当医はERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)によって総胆管結石を確認した後,EPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)を施行して除去を試みたが,除去することはできなかった。その翌日の未明から患者に膵炎が発現,血液検査の結果,ERCPに伴った膵炎と診断され…(那覇地方裁判所平成23年6月21日判決)

  • 靴擦れにより右足第5指に水ぶくれができ,その後,化膿した女児(当時5歳11ヵ月)が病院に行き,医師の診察を受けた。医師は女児に対し,添付文書上,小児に対し投薬が禁忌とされる抗菌剤フルマークを投与したところ,副作用により発疹,紅斑の発生,消褪が繰り返されるようになった…(福岡地方裁判所平成17年1月14日判決)

  • 胎児仮死のため帝王切開で出生した患児(出生時は1824gの未熟児)が大学病院のNICUへ搬送された。出生から約7時間後に皮膚色に黄色が入るようになり,約14時間後に総ビリルビン値が9.4mg/dl,約16時間後には9.2mg/dlとなるも,担当医師達は「村田の基準」を満たしていない,数値の低下が見られる等を理由に光線療法を行わなかった。その後,患児に痙攣等の症状が発現し,総ビリルビン値が12.0mg/dlになった段階で光線療法を開始したが,後日,アテトーゼ型脳性麻痺の後遺症を遺した…(大阪地方裁判所平成23年2月18日判決)

  • 過去の脳出血の後遺症のため,体幹機能障害で立位困難,発語困難な男性(当時76歳)が夜に腹痛を訴え,救急車搬送により公立病院の救急外来を受診した。診察に当たった医師は腹部を触診したが明らかな所見は無く,各種検査の結果も正常範囲であったこと,また腹部仰臥位X線画像でも所見が無かったことから,点滴を投与したうえで3時間経過観察をした後,帰宅可能と判断した。しかし,男性の状態が苦しそうであったため…(名古屋地方裁判所平成23年1月14日判決)

  • 自律神経失調症の診断を受け,クリニックの心療内科を通院していた男性が,職務担当の変更を契機に状態が悪化し,休職,自宅療養となった。その後,治療の甲斐あって職場復帰の目処が立つまでに状態が回復したところ,上司の薦めで産業医との面談が行われた。しかし,面談の場での産業医の言動により,かえってAの症状は悪化し,その結果,復職が遅れることとなった…(大阪地方裁判所平成23年10月25日判決)

  • 化学物質過敏症の男性がインレー離脱のため再合着治療を受けたが,動悸などの体調不良が続いたため,別の歯科医院を紹介された。紹介された歯科医院にて男性はフィットシールの除去,フジリュートおよびベースセメントが残存していた場合の除去,リン酸亜鉛セメントの使用が可能かどうかのテスト等を希望した…(東京地方裁判所平成23年4月28日判決)

  • 胆のう結石ないし胆管結石の疑いで入院した女性が,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)および十二指腸乳頭切開術(EST)および内視鏡的胆 道排石術を受けた。しかし,この内視鏡的胆道排石術の際に十二指腸の穿孔が生じる医療事故が発生。医療事故発生後,担当医師は女性に対し絶食,補 液,抗生剤投与,さらに,治療途中に生じた深在性真菌症に対する治療を行った…(千葉地方裁判所平成22年12月24日判決)

  • 胃部不快感等を訴えて,男性(当時50歳)がクリニックを受診した。診察した医師は胃または腸の潰瘍炎症,悪性病変を疑い,男性に対して上部消化 管造影検査を実施。検査の結果を所属する医師会の読影会の検討にもかけ,医師は胃潰瘍の可能性が高いと診断した。しかし数ヵ月後,男性が蕁麻疹の ため受診した他のクリニックで上部消化管内視鏡検査を実施したところ,胃癌が疑われ…(名古屋地方裁判所平成19年7月4日判決)

  • 本件は、O歯科医師が開設するH歯科クリニックでインプラント治療を受けたA(当時45歳男性)が、O歯科医師に従前の診療経過に関する説明およびAのカルテの開示を求めたにも関わらず、O歯科医師がこれを拒否したと主張して、O歯科医師に対し、診療契約の債務不履行または不法行為に基づき損害賠償を求めたところ、慰謝料として20万円が認定された事案である。(東京地方裁判所平成23年1月27日判決)

  • 本件は,患者Aが精神科医O医師に対して,Aを診察せず親族の話を聞いただけで統合失調症妄想型と診断して水薬を処方したことは,医師法第20条に違反する行為であり,Aの人格権が侵害されたとして損害賠償請求を求めた事案である。(千葉地方裁判所平成12年6月30日判決)

  • 変形性股関節症でキアリー右骨盤骨切り術を受けた患者A(男性,当時53歳)が下肢深部静脈血栓症・肺塞栓症により死亡したことについて,手術と術後管理を担当した整形外科医Oに予防義務,早期診断義務,治療義務違反の過失がなかったとして,その損害賠償責任が否定された事例。(高松地方裁判所平成22年3月29日判決)

  • H大学I病院O医師が,患者A(男性,大正15年生まれ)に右仮声帯の腫脹と嗄声の持続を確認した場合には,速やかに喉頭癌の確定診断をしたうえで放射線治療を開始すべき義務があることを前提として,生検を受けるか否かを決定する患者の自己決定権を侵害したとして200万円の慰謝料が認められた事例。(東京地方裁判所平成23年3月23日判決)

  • 分娩目的で入院した患者が入院中に脳内出血を起こし死亡したことに関し,意識を失った時点でCT検査を実施し,速やかに専門病院へ転送すべき義務があったとして損害賠償請求訴訟が提起された事例。(大阪地方裁判所平成22年3月1日判決)

  • 本件は,生命保険会社であるA社が,O医師に対して,Bについて虚偽内容の障害診断書を作成したと主張して損害賠償請求した事案である。これは,いわゆる和歌山毒カレー被告事件がらみのもので…(大阪地方裁判所堺支部平成14年4月26日判決)

  • 本件は,Aは,Hが開設するI病院を受診した後,帰宅途中に救急搬送され,急性心筋梗塞により死亡したところ,Aの相続人Bらが,I病院のO医師に診療上の過失があると主張して,Hに対し不法行為に基づく損害賠償請求をした事案である。第1審は,Bらの請求を一部認容して損害賠償を認めたことから,Hが,これを不服として控訴したところ,O医師がAに見られた所見から急性心筋梗塞を含む急性冠症候群の疑いを持つことが可能であったと認めることはできないとして,第1審の認容部分を取り消し,Bらの請求を棄却したというのが本判決である。(福岡高等裁判所平成22年11月26日判決)

  • 本件は,H病院の担当職員が,新聞社に情報を提供して,新聞社の発行する日刊紙に,Aの名誉を毀損する記事を掲載させたことにより精神的損害を被ったとして,Aが,その職員の使用者であるH病院に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事件である。(東京地方裁判所平成23年5月31日判決)

  • 後縦靭帯骨化症前方除圧術の除圧幅についての判断基準として,基礎となっている論文等が診療行為時に既に発表されていることを理由とし,診療行為時には策定されていなかったガイドラインが裁判所の判断に採用された事例(大阪地方裁判所平成21年11月25日判決)

  • CT検査のため,非イオン系ヨード造影剤を注入された患者がアナフィラキシー様ショックを起こし死亡した件につき,検査前の問診がまったく行われていないとして,問診義務違反及び結果との間の因果関係が認められた事例(東京地方裁判所平成15年4月25日判決)

  • H病院において分娩後に羊水塞栓症からDICとなった患者A(女性,41歳,今回が3度目の出産経験)について,O医師が輸血の緊急手配を指示したにもかかわらず,赤十字血液センターへの電話連絡上の過誤により30分遅れ,最終的に患者Aが死亡したことについて,患者が適切な医療行為を受ける期待権を侵害したとして60万円の慰謝料が認められた事例。(大阪地方裁判所平成23年7月25日判決)

  • 口蓋扁桃肥大,睡眠時無呼吸症候群と診断された患者に対し,口蓋扁桃摘出術を実施したところ,手術後に口腔内から出血,これにより患者が窒息したため心肺停止後蘇生するも,患者において,低酸素脳症を発症,遷延意識障害,四肢麻痺等の症状が遺残した事案。(広島地方裁判所平成23年2月23日)

  • 化学療法実施後に非小細胞肺ガン(ステージIV期)を再発した患者に対し、第II相臨床試験中の抗ガン剤の試験参加を勧め実施されたが、薬剤性間質性肺炎に罹患し死亡したことに関し、不適切な治験薬投与であったこと及び説明義務違反があったことを理由に損害賠償請求訴訟が提起された事例。(大阪地方裁判所平成23年1月31日)

  • マイリスVT(子宮頸管熟化剤)及びプロスタルモンE(分娩誘発剤)の投与後に胎児心音が急激に低下し帝王切開により娩出された新生児Aが,重度の虚血性低酸素性脳症に罹患し,約2年4か月後に死亡した事案。(大津地方裁判所平成23年1月13日判決)

  • 本件は,O歯科医師の歯科治療(抜歯手術)により下顎骨骨折等の傷害を被ったとするAが,O歯科医師の相続人Pに対し,不法行為又は治療行為の債務不履行に基づき,損害賠償を求めた事案である。(富山地方裁判所平成19年1月19日判決)

  • 続発緑内障等の治療中であったAが,失明したのはH病院O医師らの過失によるものとして,損害賠償を請求した事案(請求額:患者から1億5993万9849円,患者の妻Bから550万円)。(東京地方裁判所平成20年2月20日判決)

  • 患者Aが,Hクリニックにおいて,精管結紮術による断種手術を受けたところ,その手術後において,Aの妻であるBがAの子を妊娠したことから,同治療に関する施術上の過失および説明義務違反を理由として,A,Bらそれぞれが,債務不履行または不法行為に基づく損害賠償を請求した事案(仙台地方裁判所平成22年9月30日)

  • 入院中の患者A(男性,66歳)について,H病院担当医が常用量の5倍のベナンバックスを処方指示し,薬剤師が処方せんのままに調剤して,患者に投与された結果,患者Aが死亡したことについて医師・薬剤師に約2365万円の損害賠償義務が認められた事例。(請求額約1億391万円)(東京地方裁判所平成23年2月10日判決)

  • C社の従業員Aは,業務中に負傷し,H病院でO医師の診察・治療を受けたが,その後,C社に対して,業務中の負傷に関して損害賠償請求訴訟 (別件訴訟)を提起した。この別件訴訟において,H病院でのAの診療経過が明らかにされたことから…(さいたま地方裁判所川越支部平成22年3月4日判決)

  • 大動脈弁閉鎖不全症等により突然死の危険性があった患者A(47歳男性),に対し,担当のH医師が複数回にわたり入院精査をするよう説得したが,Aはこれを拒否し続けた。そこでHはAを経過観察としたが…(東京地裁平成18年10月18日判決)

  • 患者A(男性,19歳)について,イレウスを念頭においた鑑別診断及び治療を怠った過失があるとして約2100万円の損害賠償請求が認められた事例。(仙台地方裁判所平成22年5月24日判決)

  • 手術の際に眼球周辺に異物を遺残されたことにより強い精神的苦痛を受けたとしてなされた損害賠償請求につき、その請求を一部認容した事案。(東京地裁平成22年8月30日判決)

  • 予期せぬ後遺症が遺残した患者に対し、診療録等を示しながら治療の顛末について説明すべき義務があるにもかかわらず、これを怠ったとして損害賠償請求された事案。(大阪地裁平成20年2月21日判決)

  • Hが開設するI病院において,同病院に勤務していたO医師の執刀により,下肢の骨接合術等の治療を受けたAが,同手術による合併症として下肢深部静脈血栓症を発症し,後遺症が残ったとして,Hらに対し不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。(最高裁平成23年2月25日判決)

  • 臨床病理センターの誤報告に基づき,真実は母親のRh式血液型がRh(−)であるにもかかわらず,母子手帳にRh(+)と記載したことによって,Rh血液型不適合妊娠への対応が取られなかった結果,新生児溶血性疾患が生じ…(札幌地方裁判所昭和57年12月21日判決)

  • 肺がんの治療のためにH病院(大学病院)に入院していた患者に対し,担当医が輸液目的でCVカテーテルを挿入したことに対し,CVカテーテルの挿入手技を誤り,胸背部痛に苦しむ患者を放置した。(東京地裁平成22年9月27日判決)

  • 肺動脈奇形に対する根治手術を受けた患者が同根治手術中に低酸素脳症となり,手術から4年9か月後に死亡した。(津地裁平成22年1月28日判決)

  • H病院(医大付属病院)において肝細胞癌と診断され開腹手術を実施したが術中に細胞癌が見つからず,その後肺癌で死亡した。(京都地方裁判所平成14年3月12日判決)

  • 入院診療が必要でない患者が,5年以上にわたり入院を継続し退院を拒否し続けたため,医療機関側が患者に対し,病院からの退去等を求めて訴訟を提起した。(名古屋高裁平成20年12月2日)

  • 生体肝移植手術後,患者がMRSA敗血症に起因した感染性心内膜炎を発症し,この感染性心内膜炎の結果から発生した脳出血を原因として死亡した。(名古屋地裁平成19年2月14日)

  • H大学歯学部に在籍中,HIV感染症の診断を受け,別の大学医学部附属病院において受診していた患者が,病院の医師がHIV感染症に係る病状を本人の承諾なくカルテに基づきH大学歯学部教授に対して漏示した。(東京地裁平成11年2月17日判決)

  • 同種末梢血幹細胞移植のドナーとなるため,顆粒球コロニー刺激因子製剤の投薬を受け,末梢血幹細胞採取が実施された際,医師に診療ガイドライン遵守義務違反および説明義務違反があり,学会には,診療ガイドライン遵守に関する監視義務違反が・・・(大阪地裁平成19年9月19日判決)

  • 美容整形外科を診療科目とするクリニックにおいて,下顎骨角部の張り出し部分の切除術を受けた患者が,手術の際に手術部位に線状骨折が生じ,その後長期間にわたる治療を受けることを余儀なくされ…(東京地方裁判所平成20年9月25日)

  • 膵臓がんに対する全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行したところ,術後縫合不全が生じ,動脈出血を繰り返した後,患者Aが多臓器不全により死亡した。(東京地方裁判所平成15年1月31日判決)

  • 左下7番抜髄の際,失活剤である亜砒酸を過剰に貼付したところ,左下顎骨骨髄炎を発症,左オトガイ神経麻痺による麻痺,知覚異常等の障害が残存した。(京都地方裁判所平成16年5月26日判決)

  • 白内障手術を受けた患者が,手術時の手技ミス及び術前の無菌処置の不徹底により,術後眼内炎に罹患し左眼を失明した。(東京地方裁判所平成13年1月29日判決)

  • 医師が,職場の定期健康診断において撮影された胸部X線写真の異常陰影の2年にわたる見落としの結果,肺がんで死亡したが…(名古屋地方裁判所平成21年1月30日判決)

  • 腹痛などを理由にH病院に救急搬送された患者に対し,急性胃腸炎と診断して入院させていたところ,入院翌日に絞扼性イレウスで死亡した。(横浜地裁平成21年10月14日判決)

  • 自治体の保健センターが実施した健康診査において,血液検査のための採血後,患者に採血部位の変色,痛み,痺れ,腫れ等が生じ,左内側前腕皮神経及びこれと左尺骨神経との交通枝が損傷され,左上肢にカウザルギーを発症した。(東京地方裁判所平成19年4月9日判決)

  • 4歳児に対する抜歯の際,抜去歯を口腔内に落としたため,その幼児が気道閉塞によって窒息死した。(浦和地方裁判所熊谷支部平成2年9月25日判決)

  • 交通事故により痙性斜頚を発症した患者に対し,適応のないアドリアシン注入術を行った。(大阪地裁平成20年2月13日判決)

  • 食欲不振などを理由にH病院に入院していた患者に対し,夕食の一部としておにぎりを提供したところ,これを誤嚥して窒息しその後死亡した。(福岡地裁平成19年6月26日判決)

  • 夜間せん妄等の傾向のある患者が,入院中に看護師により抑制具(ミトン)を用いて両上肢をベッドに拘束された。(最高裁判所平成22年1月26日第三小法廷判決)

  • 急性心筋梗塞の患者が病院で診察を受けた後,他の病院に転送されたが心室細動を発症して死亡した。(神戸地裁平成19年4月10日判決)

  • 仙骨部骨巨細胞腫摘出及び骨盤再建手術の過程において,加圧輸血による血液が大量に血管外に漏出し,その漏出した血液が頸部の静脈を圧迫した結果,患者が脳虚血等による脳出血となり…(広島高等裁判所岡山支部平成10年1月29日判決)

  • 注射針の穿刺に際して注射針で手の背側指神経を傷つけないように細心の注意を払うべき注意義務に違反して注射針を深い角度で穿刺した。(東京地方裁判所平成20年7月28日判決)

  • 末期癌で死亡した患者について,医師が患者の家族に対して病状等を告知しなかった。(最高裁判所平成14年9月24日判決)

  • 大学病院に入院中の患者に対し抗がん剤が過剰投与されたことにより患者が死亡した際,その死亡原因につき隠蔽行為があったとして患者の相続人らが損害賠償を求め…(東京高等裁判所平成15年7月15日判決)



これまで公開された裁判判例の中から、医療従事者にとって医療の現場の教訓となるような事案を紹介し、解説しています。
執筆・編集は、医療裁判を多く手掛ける弁護士が行っています。
「メディカルオンライン医療裁判研究会」弁護士(50音順)
伊藤友哉、乙井秀式、梶英一郎、加藤愼、菊池不佐男、北澤龍也、棚瀬慎治、多屋紀彦、中藤亮平、深澤建太、水上裕嗣、三輪修平(2016年7月現在)

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